新機能満載「iPhone8」、9月15日に予約開始か アップル「好決算」の要因はiPadだった

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ティム・クックCEOは、App Storeの売上高が牽引しているとしたうえで、最大規模となった開発者会議 WWDC 2017の成功を報告し、iOS 11で世界最大の拡張現実(AR)プラットフォームに進化し、教育やゲームなどの幅広い分野で活用されることへの期待を見せた。

開発者の想像力をかき立てる新しいソフトウエアや技術が、App Storeの継続した成長を支えており、付加価値の高い端末を持つユーザーによる積極的なアプリへの投資によって、エコシステムが構成されている。

アップルにとって、2017年に入ってからの中国での不振は、毎四半期ごとに2ケタ減を記録という形で表れており、2017年第3四半期決算でも、前年同期比10%減と、振るわなかった。Macなどは好調である点が指摘されているが、やはりビジネスの中心であるiPhoneの販売の伸び悩みが足を引っ張る形となっている。

前述のとおり、iPhoneには、大きく進化する2017年モデルを待つユーザーが多く、中国市場でその傾向が顕著になっているとの指摘がある。その分、2017年発売のモデルへの爆発力が期待できる、と前向きにとらえることもできる。

一方、以前の中国市場のように成長を続けているのがアジア太平洋地域、ラテンアメリカ、中東だ。iPhoneについて、前年同期比25%増を記録したという。

9月にも新型iPhoneが登場する「サイクル」を持っているアップルのスマートフォン戦略においては、iPhone 7は間もなくモデル末期を迎えることになる。

iPhone1台あたりの平均販売価格が上昇したとはいえ、iPhone 7 32GBモデルが649ドルを下回っていることからも、併売されている2015年モデルのiPhone 6sシリーズと、低価格モデルiPhone SEの比率が大きくなっていることがうかがえる。

しかし、販売台数を継続的に伸ばし、買い替え需要を喚起していくことで、App Storeのビジネスの成長へと結びつけることができる。iPhone SEも、こうした地域では高付加価値端末に位置づけられるが、ブランディングと価格のバランスを、ハイエンドとミドルレンジのiPhoneのラインナップによって実現している。

次のiPhoneに向けて

さて、多くの人々にとっての注目は、いよいよ9月に発表されるとみられる新型iPhoneだ。

カレンダーを見てみると、たとえば9月22日発売だとすれば、9月6~8日、もしくは9月12~15日にスペシャルイベントを開催し、9月15日から予約開始、というスケジュールが妥当だろう。9月8日開催は、次のモデルの名前とみられる「iPhone 8」との語呂合わせの面でも最適だが、万全を期すならその翌週になるだろう。

また、今年はiPhone 7に対して「iPhone 7s」がリリースされる年となるが、有機ELディスプレーを搭載するモデル以外でもワイヤレス充電に対応するため、端末の背面の素材が変更される可能性が高い。デザイン変更を伴うことから、「iPhone 8」でのモデル展開も考えられる。

新型iPhoneの販売効果が決算に表れるのは、2018年1月末から2月頭にに発表されることになる2018年第1四半期まで待たなければならない。iPhoneとiPadの平均販売価格のさらなる上昇と、App Storeの成長など、引き続き見所の多い決算となるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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