好調日立を悩ます「南ア火力発電事業」の行方 三菱重工の請求額は7743億円、争いは仲裁へ

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今後、JCAAの判断は両社にどういう影響を及ぼすのか。

三菱重工は6月末時点で請求額のうち3182億円を資産計上しているため、仮に1銭も取れなければ、少なくとも3000億円超の損失を計上することになる。「とりっぱぐれると損失だが、念頭に置いていない」(三菱重工の小口正範CFO)

逆に、満額が認められれば、三菱重工には4000億円程度の利益が出ると思われる。

5000億円前後の損失計上の可能性も

日立はこの案件で一定の引当金を計上している。金額を開示していないが、3000億円には達していないと思われる。このため、3790億円の支払いなら1000億円単位の損失、7600億円超の支払いなら5000億円超の損失計上となる可能性が高い。

日立製作所の東原敏昭・執行役社長兼CEO。足元の業績は好調だが、南ア問題の行方が懸念の一つだ(撮影:尾形文繁)

日立が7月28日に発表した2018年3月期第1四半期(2017年4~6月)決算は、調整後営業利益(IFRSで売上高から原価と販管費を控除したもの)1318億円、同利益率で6.3%、「第1四半期としてはともに過去最高」(日立の西山光秋CFO)となった。

通期予想こそ据え置いたものの、「低収益事業からの撤退や構造改革を進めたことで計画以上に収益性のカイゼンが進んでいる」(同)と稼ぐ実力が上がっていると自信を示していた。この決算を受け、31日の株価は前日比38円(5.3%)上昇した。

南ア問題はすでに表に出ていたもので、新しい話ではない。しかし好決算を発表した直後のタイミングなだけに、その影響額の大きさが際立つ。

「さまざまな分野にわたるパートナー」(西山CFO)と位置づける三菱重工との係争は、どういう形で決着しても両社にしこりを残しそうだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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