フランス高級ワインは日本で高値を崩せない

関税撤廃で欧州ワインは日本に押し寄せるか

確かに、日本が輸入するワインには、価格の15%または1リットル当たり125円のうち低いほうの税率が適用されており、一般的な750ミリリットルボトルの関税は最大で約94円にとどまる。そのため、「関税撤廃でワインが安くなる!」などとニュースで目にすることも増えているが、一概にそうはいえない現実もあるようだ。

そうなると、関税撤廃により恩恵を受けるのは、低価格帯のワインが主になりそうだ。その証拠に、2007年に経済連携協定(EPA)が発効したチリ産のワインの伸びが今、日本では顕著だ。チリ産ワインは、2019年の撤廃に向けて現在関税が段階的に引き下げられている。そもそもの価格が手頃なため、価格に占める関税の割合は大きく、「ワンコインワイン」なるものも実現できるほど手頃感が感じられるとあって、関税引き下げ効果を大いに享受している。

そしてついに、チリ産ワインは、これまで日本への輸出量ではトップの座を守ってきたフランスを抜いて、2015年から2年連続で1位に躍り出ている。面白いことに、インターネット上では、EUとの関税撤廃のニュースにあやかってなぜか、「関税撤廃 チリ産ワイン大SALE中!!」などと、ちゃっかりセールに便乗しているケースも見受けられた。

ちなみに、2016年の日本の輸入ワイン数量の国別シェアランキングは、チリの30%に次いで、フランスが22%、イタリア15%、スペイン13%などとなっている。興味深いのは、金額別のランキングでは、フランスが52%と、2位のチリ13%を大きく引き離して依然としてトップ。いかに、フランスから価格の高いワインが多く輸入されているかがわかる。

オーストラリアの視線は日本を超えて中国に

地元オージーたちは、週末にワイナリーを訪れ木陰の下でワインとおしゃべりを楽しむ(筆者撮影)

では、2015年に発効した日豪EPAで、ワインの関税がやはり段階的に撤廃されることで合意しているオーストラリア産のワインはどうだろうか。

今年1月に来日した、スティーブン・チョーボー貿易・観光・投資大臣は声明で、ワインの対日輸出は今年1月時点で発効前と比べて12%増加していると強調した。しかし、対オーストラリアドルでも円安基調が続く中、関税の引き下げは販売価格に大きなインパクトを与えられるほど大きくはないようだ。

日本への輸出を手掛けるオーストラリアのワイナリー経営者は、こう話す。

「正直、日本への輸出メリットはそんなに大きくない。優先順位としてはかなり下のほうだ。富裕層が急増している中国のほうが今、マーケットとしては魅力を増している。彼らは、超高級といわれる高値のワインをバンバン買うからね。いまや、日本よりも中国のほうが魅力あるマーケットになりつつあるよ」

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