フランス高級ワインは日本で高値を崩せない 関税撤廃で欧州ワインは日本に押し寄せるか
カパンナのワインは、日本のワイン愛好家たちの間でも人気だ。マネジャーのダニエルさんは、誇らしげに日本のワイン専門誌に掲載されたんだと言って、記事を見せてくれた。
カパンナは、12年前から日本への輸出を始め、年間多いときは2000本のワインが日本で消費されるという。EU諸国以外では、アメリカに次いで第2の輸出国だという。
そのため、今回の関税の即時撤廃のニュースは、大いに朗報として受け止められた。「日本政府がワイン関税撤廃を受け入れたことは、とてもすばらしいニュースだ。これから、日本ではより幅広い種類のワインが広がっていくと思うよ。特に、価格帯の安いワインには大きなメリットになるだろう」。
カパンナでは、最低5年間の熟成が必要な、3大銘酒であるブルネッロ・ディ・モンタルチーノのほかに、1年間ほど熟成された弟分ともいえる、比較的リーズナブルなロッソ・ディ・モンタルチーノも製造している。関税撤廃では、より安価なロッソ・ディ・モンタルチーノのような商品に、よりメリットがあるのではと、ダニエル氏は言う。
フランスの高級ワインは、関税撤廃の効果はあまりない
では、世界でも名だたる高級ワインを生産するエリアが広がる、フランス・ブルゴーニュ地方ではどのように受け止められているのか。
世界最高峰のワインとして知られるロマネ・コンティをはじめ、1本の値段が優に数十万円を超える希少なワインを生産するワイナリーも数多く存在するこの地域。日本でも高級レストランやワインショップには必ずといっていいほどブルゴーニュ産が名を連ね、ワイン通たちの間でもてはやされる、世界屈指のワイナリーエリアだ。
その一角で、家族3代続く格式あるワイナリーを経営するオーナーは、「あまり大きな声では言えないけれど――」と前置きしたうえでこう明かす。「関税が撤廃されるからといって、その値段は微々たるもの。特に、われわれのように高価なワインがメインのワイナリーにとっては、その値下げ幅はワイン1本の価格に対して非常に低いから、あまりメリットはないんだ」。
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