姫乃さん以外のクラスメートはほとんど全員、塾に通っていた。塾の成績の良い子はねたまれてイジメの対象になったり、ケンカになったりしたし、受験のストレスから教室で暴れる子がいて授業にならないときもあった。
「つまり学級崩壊だったんですよね。ただ、私は、受験をしていなかったために、巻き込まれることはなく、のほほんと楽しく過ごしました」
公立中学でイジメの対象に
姫乃さんの実家はお金持ちではなかったし、両親は受験に興味がなく、姫乃さん自身も特に将来の夢もなかったので、受験はせずに地元の公立の中学校に進学することにした。公立の学校に来る子のほとんどは、受験に失敗した子や、受験をあきらめた子であり、皆、劣等感を抱いていた。
入学式の際、姫乃さんの出身小学校の中から誰かが代表して、新入生のあいさつをすることになったのだが、姫乃さん以外にあいさつを担当できる精神状態の生徒はいなかった。姫乃さんは文章を考えるのが好きだったし、あいさつをすることで興味のあった現代文の先生に早く会えると聞いて、快く引き受けることにした。
そして、あいさつをした翌日から、イジメの対象になった。
「入学式から変に目立ってしまって、ほかの生徒からしてみたら、公立中学に来といて、のびのびしてんじゃねえぞ!!って気持ちだったでしょうね。入学して3日で、私立の学校に行けばよかったって、早くも大後悔しました」
校則は異常に厳しかったし、会いたかった現代文の先生はヒステリックな人でまったく反りが合わなかった。もうさんざんだった。ずっと1個上の先輩にいじめられて、彼らが卒業した後は同級生にいじめられた。
上履きは何度もなくなり、机に「死ね」と書かれ、差出人不明の誹謗中傷メールが送られてきた。そんなつらい日々のストレスから、全身が膿んでしまって、体中にかさぶたができた。悲惨な見た目になってしまったため、余計にいじめられた。
「病院に行ったら、『体が膿んでいる原因はわからないですが、ハゲる可能性があります』って言われて。14歳なのにハゲるんだ……って、もう絶望的な気持ちになりました」
さすがに凝りて、高校は慎重に選ぶことにした。校則がゆるく、制服がない学校に決めた。和気あいあいとした、自由な学校だった。
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