ただし、中には困った人もいた。打ち合わせだって言われて足を運んだら、ただの飲み会だった、なんてこともよくあった。写真の撮影だと、箱根に呼び出されたときには、少し撮影をした後に、
「残りは東京で撮ればいいや。今日は、旅館取ってあるから一緒に泊まろう」
と強引に宿に連れて行かれそうになった。
「すごく怖いし、悔しかったですよ。でも仕事を始めたばかりの女子高生で、何もわかってなかったので『こいつならだませるな』って目をつけられたのかもしれません。今はたくさんの人と会う仕事を続けてきたおかげで、そういうヤバイ人は早めに見分けがつくようになりましたね」
そんな困った人たちとも出会いつつも、高校時代は、アイドル活動とアルバイトで忙しく過ごした。アイドル活動がライブ1回約1万円でひと月の収入は7万~8万円。アルバイトでも、それと同じくらい稼いだ。高校生にしては、十分な収入だ。
ファンと対等な関係を築くために大事なこと
目の前の仕事が忙しかったので、大学に行く気はなかったけれど、高校の担任の教師が、指定校推薦の枠を取ってくれたので、受験勉強はしないで大学に進学することにした。
大学に入っても継続して、バリバリと活動していたが、19歳のとき、忙しすぎて過労でうつ状態になってしまう。静養のため、いったんアイドル活動を休止して、これからどうしようかな?と考えているときも、ライターの仕事ならば、もっと続けたいと考えていた。
18歳の頃から、とあるアダルト本に記事を寄稿していた。うつ状態のときも、その本の担当編集者はいつも気にかけてくれていて、ありがたかった。
「地下アイドルって文章書くことから逃げられないんですよね。ブログやSNSを定期的に更新してファンに発信するのが仕事ですから。私はそもそも、文章を書くのが好きだったので、今でもルポを書くのは楽しいですね」
アダルト本の記事を執筆するにあたり、アダルトビデオの撮影現場に行ったり、キャットファイト(女性同士のケンカを見せるエロチックな興行)の取材に行ったりするのは、とても楽しかった。しばらくして連載している本が廃刊になってしまったが、それを嘆くブログを書いたら、そのブログを読んださまざまな出版社からオファーが来て、月の連載が20本以上にもなった。
その頃には、アイドル活動は復帰していたが、アイドルをやめてもライターだけで、食べていけるくらい稼いでいた。
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