外国人が心底うらやむ「最強観光資源」とは? 日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに

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誤解を恐れず言えば、「観光は勉強であり、修業である。外国人に日本の文化を教える」などという、バブル以前に生まれた感覚と慣習がまだ残っているという印象を受けるときすらあります。

このような「ギャップ」を埋めることができれば、日本の観光は新たなステージに立つことができるでしょう。

たとえば、外国人観光客にも人気の鎌倉や日光を考えてみましょう。いま彼らが向かうのは、鎌倉の場合は大仏、日光ならば東照宮というのが定番となっています。しかし、ご存じのように、鎌倉には由比ヶ浜や江の島などがあってマリンスポーツが楽しめます日光は豊かな自然に囲まれていますので、トレッキングやフィッシング、カヌーなどさまざまなアウトドアが楽しめます

これらを外国人観光客も楽しめるように整備して発信すれば、地域経済的にも大きなプラスになることは言うまでもありません。

「観光化」こそ、自然保護の切り札だ

このような説明をすると、ただでさえ外国人が増えて観光地が混み合っていると問題になっているのに、日本の美しい自然まで荒らされたらたまらないと主張される方もいます。

しかし、文化財の問題と同様で、カネの成る木などどこにもありませんので、しっかりと「保護」して後世に遺すためにも、「観光」などでその「原資」を稼がなくてはいけません。先立つものがなければ「保護」などできないということは、東洋経済オンラインの読者であればおわかりいただけると思います。

かつて富士山に多くの登山客が訪れたことで、「自然破壊」が問題になりましたが、「観光地」としてしっかりと整備することで改善されていきました。中途半端な「手つかずの自然」より、観光地としてしっかりと整備されることで、スタッフや予算がつき、結果、美しい自然が守られる。それはアメリカの国立公園などをはじめとした「世界の常識」なのです。

つまり、「自然観光」の整備は、まわりまわって「自然保護」を持続させる原動力になっているのです。

ビジネスチャンスというだけではなく、社会課題を解決することができる「自然観光」は、実は日本に秘められた高いポテンシャルの象徴と言えるでしょう。

デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長

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David Atkinson

元ゴールドマン・サックスアナリスト。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。2010年代表取締役会長、2011年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

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