外国人が心底うらやむ「最強観光資源」とは? 日本は「最も稼げる武器」が宝の持ち腐れに
ビーチがある海から少し内陸に入ると、3000メートル級の山があります。ヨーロッパなどの森林と比べると、日本の動植物の多様性には目を見張るものがあります。
また、南北に長いため、北海道や東北のような豪雪地帯から沖縄のビーチリゾートまで、あらゆる「自然」がそろっています。日本の「自然」は、世界がうらやむ多様性に満ちているのです。
日本の自然は「宝の持ち腐れ」になっている
しかし、先ほどのWorld Economic Forumのデータによると、日本はこれほどすばらしい自然を持ちながらも、「自然観光」は世界第29位、その整備も世界第66位となっています。
これまで日本は、「日本文化」を積極的に海外に発信してきました。日本の文化資源のランキングは世界第4位という高い評価を受けています。
にもかかわらず、観光客数も他の先進国と比べると不十分ですし、最も大事な観光収入もまだかなり少ないです。文化をメインに発信しているフランスを見てください。たしかに観光客数は多いですが、それに比して収入は異常に少ないのです。それを考慮すると、やはり日本も「文化」だけでは観光大国にはなれません。
日本の観光PRは富士山、芸妓(げいこ)、茶道、歌舞伎、お能、城、神社などが発信の大半を占めており、「文化・歴史」に偏重しすぎています。日本のdestination campaignに登場するのもほとんど文化財です。
「文化・歴史」が非常に大事な観光資源であることは言うまでもありませんが、『新・観光立国論』などでも繰り返し述べてきたように、観光とは「多様性」が命です。
「文化・歴史」のPRだけでは肩苦しく、観光客の「幅」が狭くなってしまいます。これはある意味で、日本人観光客の目線と言えるかもしれません。といっても、「文化・歴史」を否定しているわけではありません。「文化・歴史」を打ち出す観光戦略だけでは限界があると申し上げているのです。
より多くの「日本ファン」を誘致していくには、多種多様な観光資源を最大限活用すべきです。つまり、「文化・歴史」を打ち出している現状にくわえて、さらに「自然」という強みをもっとアピールしていけば、日本の観光はまだ大きく成長することができるのです。
先日おもしろいデータを見ました。東京都が「都民が外国人観光客に東京で体験してほしいこと」と、「外国人観光客が東京都でやってみたいこと」を調査したところ、最も大きなギャップが出たのが「自然体験」でした。
外国人の立場では、高尾山、庭園、公園など、東京都ならではの「自然」も体験したい。しかし、都民としてはせっかく遠い国からわざわざ来たのだから、日本の伝統や歴史を学んでほしいと考えます。
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