テレビの映画再放送にイラッとする人の目線 「またジブリ?」他局のドラマ潰しに終始

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他局との争いを意識しての策であることは明らかであり、「形を崩してまでドラマ視聴者を奪い合う」という戦略は疑問。「テレビ局の思惑や目先の競争を優先させ、視聴者を置き去りにしてしまう」という黄金期から続く悪癖がまったく直っていないのです。

さらに、ドラマ同士ではないものの、フジテレビの月9ドラマ第1話放送日に合わせて、「はじめてのおつかい」(日本テレビ系)、「とんねるずのスポーツ王は俺だ」(テレビ朝日系)、「プロ野球選手の妻たち」(TBS系)という人気シリーズ特番をぶつけ合ったのも同様。賢くなった昨今の視聴者は、「普段からこれくらい力の入った番組を放送してくれるのならいいけど……」とがっかりしてしまうのです。

テレビ番組以外のコンテンツの種類と量が増えたことで、質の高さで勝負しなければいけない時代になりました。だからこそ各局には、「各局で視聴率を奪い合う」のではなく、「各局が質の高いコンテンツで競い合って全体の視聴率を上げる」という大同団結が求められているのです。各局が「ネットコンテンツの脅威を感じつつも、現状を変えられず、狭い争いに終始する」という消極的な体質からいつ抜け出せるのか。これがテレビ業界全体の今後を左右するのではないでしょうか。

ジブリ映画ですら視聴率1ケタの苦境

そんな現状の危うさを示しているのは、皮肉にもテレビ業界が最も重視する視聴率。再放送の映画は、『借りぐらしのアリエッティ』が9.1%、『思い出のマーニー』が9.7%、『カーズ』は7.1%、『パイレーツ・オブ・カリビアン』は10.4%、10.3%、9.8%、11.3%と、「良くて2ケタがやっと」の状態であり、ジブリ映画や人気シリーズですら、視聴率に陰りが見えはじめています。

そもそも「好きな時間に好きなものを見る」という自由を求め、オンデマンドを好む現代人に、「再放送をリアルタイムで見てほしい」という施策そのものが疑問。それでも、新作映画を放送する、新たなコンテンツを作り出すというスタンスで勝負できないところにテレビ局の苦悩が見て取れます。

もう1点、見逃せないのは、視聴者が「固定ファンの多いジブリ映画や人気シリーズをたたきにくい」という世間の風潮。新作映画や新作ドラマは放送前から厳しいコメントが飛び交う一方、「いったん人気を得た作品は自分が批判されることを恐れてたたかない」という人が多いのです。

実際のところ、SNSでは新作映画に対して、「こんなものを放送するなら『〇〇』(往年の名作映画)を再放送したほうがいい」というコメントが少なくありません。反面、「ジブリはつまらない」「パイレーツはもう飽きた」という声は出にくいため、テレビ局が再放送に踏み切るという側面は間違いなくあるでしょう。

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