もちろん、休みの日程が確定するまで、旅行の予約をするのはNGだ。「早く予約しないと、飛行機やホテルが埋まってしまう」というなら、早めに休みたい期間を申請すべきだろう。目安としては、1カ月前までには伝えておきたいところだ。
余談だが、前述したWさんの先輩は、勝手に日程を決めて旅行を予約したところ、「予約した代理店が倒産し、旅行代金がパーになってしまった」という。
「後輩のAの夏季休暇中に、彼の顧客から、『クレームが放置されている』との連絡が。やむなくAの代わりに対応したが、勘弁してほしい」と怒るのは、IT企業に勤めるKさん。クレームがあれば、休暇前に処理していくのが大前提だが、どうしても終わらない場合は、先輩や同僚に引き継ぎをするべきだ。
『仕事も人間関係もうまくいく! マナードリル』(総合法令出版)著者である亜細亜大学非常勤講師の関下昌代さんは、「クレームに限らず、休暇中に発生しそうな仕事があれば、先輩や同僚に引き継いておくことが大切。引き継いだ人が困らないように、引き継ぎ内容を口頭だけでなく、書面で伝えておくことが大切」という。新入社員よりも入社2年目以降の社員が犯しそうなミスだが、注意してほしい。
引き継ぎは新しい仕事を覚えるチャンス
自分が休むときに、先輩や同僚に仕事を引き継いでもらうなら、先輩や同僚が休むときには、その仕事を快く引き継ぐのが、職場のマナーというものだ。にもかかわらず、「仕事の引き継ぎをお願いすると、あからさまにイヤな顔をしたり、『忙しくて対応できません』と拒む人がいる」と、関下さんは指摘する。「しかし、先輩の仕事を引き継ぐということは、これまでやったことがない仕事や、他の取引先を知るチャンスでもあります。進んで引き受けたほうが、自分の成長の糧になりますよ」(関下さん)。
休暇が迫ると、休暇明けのことを考えずにバタバタッと休んでしまう人がいるが、それによって周囲に迷惑をかけることもある。システムインテグレーター企業に勤めるFさんは、チームリーダーの段取りの悪さに辟易したという。「夏休み明けから客先作業をするのに、何の段取りもつけないまま休んでしまった。休暇明けの午前中にバタバタと段取りをしてあれこれ指示してくるので、チームは大混乱……」。新入社員も、休み明けの初日にしなければならない仕事があるなら、その準備をしておくようにしよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら