加計問題、安倍首相の「1月知った」は酷すぎる 閉会中審査によって疑惑はかえって深まった
しかしながら2016年11月9日に開かれた第25回国家戦略特別区域諮問会議で、安倍首相自身が「獣医学部の設置」を決定した。また2017年5月8日の衆議院予算委員会で民進党の宮崎岳志衆議院議員の質問に対して、「第2次安倍政権発足後も、内閣総理大臣が本部長である構造改革特区本部においてこの提案に対する政府の対応方針を決定しており、他の多くの案件と同様、本件についても知り得る立場にあった」と自ら述べている。
これで「加計学園が獣医学部の新設を申請していることを1月20日まで知らなかった」と主張するのは、全く苦しい言い逃れといえるだろう。多くの国民が論理的にも破たんしていると考えるのではないだろうか。
さまざまなところで綻び
疑惑を深める矛盾はまだある。獣医学部の設置が正式に決定した前日の11月8日、文科省は「加計学園への伝達事項」なる文書を作成し、高等教育局専門教育課の担当者から設置室、私学部関係者宛てに送付した。
その内容は、翌日の正式決定に沿うように文科省が加計学園に「指導」するもので、その指導内容に過不足がないか省内で事前確認したものだ。
「まさに加計ありきで文科省が動いていた証拠といえる。これは試験前に試験官が受験生に問題の範囲を教えるようなものだ」
民進党の予算委員会次席理事の大西健介衆議院議員はこう批判した。実はこの文書は文科省の追加調査の中で出てきたもので、7月24日の閉会中審査で玉木雄一郎衆議院議員がパネルで使おうとしていたものだったが、与党の理事らが「正当性に疑義がある」として反対していた。ところが予算委員会では一転して松野一博文科大臣が「本物だ」と認めてしまった。
「これには与党の予算委員会理事たちも委員会の後に、首をひねっていた」と大西氏は話す。
さまざまなところで綻びを見せる加計学園問題だが、それを解明するためにはやはり加計孝太郎理事長自身が説明することが必要だろう。安倍首相は冒頭で「常に国民目線に立ち、丁寧な上にも丁寧に説明を重ねる努力を続けていきたい」と述べたが、その言葉が本意から出たものなら、加計氏にも振りかかる疑惑を払拭するために、その心友に国会に出向くように説得してもよいのではないだろうか。
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