なぜ人間はオカルトにハマってしまうのか?

『現代オカルトの根源』の著者、大田俊寛氏に聞く

オウム真理教とは何だったか

――オウム真理教について伺います。大田さんは、本書の冒頭において、オウムの幹部であった上祐史浩氏と行った対談について触れていますね。

はい。『atプラス』(太田出版)という雑誌の企画で、上祐氏と対談する機会を与えられました。オウム真理教が起こした一連の事件に対しては、彼らは結局のところ何を目指していたのかと、いまだにさまざまな憶測や議論が交わされています。しかし、対談の場での上祐氏の発言によれば、オウムの活動の最終目的は「種の入れ替え」に置かれており、そのことは教団の上層部において、ある程度共有されていたというのです。

著書では、19世紀の神智学から、オウム真理教・幸福の科学に至る系譜をたどっている

――「種の入れ替え」とは、聞き慣れない言葉です。どのような意味なのでしょう?

麻原の世界観では、人類全体が2つの種類に大別されていました。ひとつは、自らの霊性のレベルを高め、超人類や神仙民族と呼ばれる存在に進化する「神的人間」であり、もうひとつが、物質的欲望におぼれ動物化していく「動物的人間」です。麻原の見解によれば、現在の世界は「動物的人間」がマジョリティを占めており、他方、「神的人間」はマイノリティとして虐げられている。この構図を転覆しようというのが、「種の入れ替え」という言葉が意味していたものです。

オウムは、数々の修行やイニシエーションによって、「神的人間」を創出・育成しようとした。その一方で、人類の霊性進化の妨げとなる「動物的人間」を粛清しようと、70トンという膨大な量のサリン生産計画に着手したわけです。現在の日本をサリンで壊滅させた後、「シャンバラ」や「真理国」と呼ばれるユートピア国家を樹立しようというのが、オウムの最終目的でした。このように、オウムの世界観においても、「神への進化」と「動物への退化」という霊性進化論的な二元論が、極めて根幹的な役割を果たしていたのです。

※記事初出時、オウム真理教と幸福の科学の教義について、共通性などを論じた一節がありましたが、編集上、配慮を欠いた部分がありました。削除のうえ、関係者の皆様にお詫びいたします。

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