真冬でも上半身裸で体操などと聞くと、スパルタ教育的な学校かと思われてしまうかもしれないが、それは誤解だ。栄光学園は東大合格者ランキングトップ10の常連校であり、神奈川御三家と呼ばれる超進学校であるが、校風は「ほんわか」「のんびり」それでいてちょっぴり「おちゃめ」。出身者には解剖学者の養老孟司さんがいる。
2017年春に校舎の全面改築が終わった。2020年東京オリンピックで使用される新国立競技場の設計デザインを担当する建築家の隈研吾さんが監修した校舎だ。隈さんも栄光学園の出身。まるで山荘のような落ち着いた雰囲気がありながら、学びの空間としての機能を両立させている。
「存続か否か」、新校舎になって議論が再燃
中間体操の歴史と意義について、望月伸一郎校長、生徒指導部長の壱岐太教諭、中間体操委員の古賀慎二教諭そして矢口賢教諭に聞いた。
「もともとは1930年代に、同じくイエズス会が運営する六甲学院で始まったものです。栄光学園ができたときに六甲学院をまねする形で導入されました」(望月校長)
中間体操が学校の伝統であることは間違いないのだが、中高別々に2カ所で実施したり、2学年ずつ3カ所で実施したり、ラジオ体操の前にグラウンドを行進したり、ランニングしたり、なわとびをやったり、自主運動にしたりと、年代によってやり方は変わってきた。
全校生徒がグラウンドに集合し全員でいっしょにラジオ体操をする形式になったのは、実は2017年度から。新校舎になって、やり方を刷新したのだ。
「校舎の建て替えを行っている間、生徒たちは仮設のプレハブ校舎で約2年間過ごしました。グラウンドから離れてしまったこともあり、その間、中間体操があまり良い形では行えませんでした。2017年春に新校舎が完成し、新しい生活が始まったとき、そもそも中間体操をどうするのか、職員の間で大きな議論になりました」(望月校長)
有志教員で結成された中間体操委員が議論を重ね、結局「上半身裸、グラウンドでの全員一斉」の実施を決めた。
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