トランプ「支持率最低」政権の深刻すぎる前途

就任半年で政策動かず、ロシア疑惑が重し

通商政策でもトランプ大統領が目指す世界は見えてこない。

トランプ大統領はアメリカが戦後作り上げてきた多角的な貿易の枠組みを崩そうとしている。大統領令で多角的自由貿易協定から離脱し、二国間交渉に軸足を移すことを明らかにしている。だが、その先の通商政策が見えてこない。

トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を実現するためには通商協定の見直しが不可欠であると考えている。就任直後、大統領令でTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱を決めた。だが、NAFTA(北米自由貿易協定)からの離脱には進まず、トランプ大統領は5月18日に議会に対して“再交渉”通告を行った。通告後90日を経過してカナダとメキシコとの再交渉を始めることができる。再交渉が始まっても、ライトハイザーUSTR(通商交渉代表部)代表は、協定を廃棄するのではなく、改善することになると発言、当初のトランプ大統領の厳しい主張から大きく後退している。

またトランプ大統領はロイター記者との会見で「米韓自由貿易協定」に触れていた。7月12日にUSTR(米通商代表部)は韓国政府に同協定の再交渉を通告した。ライトハイザーUSTR代表は、30日以内に協議を始め、再交渉の議題を検討する意向を明らかにしている。ただ、韓国政府は、協議に応じるが、それが協定の再交渉の開始を意味するわけではないと慎重な立場を取っている。これも先行きは不透明である。

通商政策は対中国でふらつき、周辺諸国に余波

7月13日、トランプ大統領は記者会見で「鉄鋼輸入は大きな問題だ。鉄鋼のダンピングで国内の鉄鋼産業は破壊されている」とし、「それを防ぐには関税引き上げか輸入割り当てしかない。私は両方実施するつもりだ」と」と語っている。鉄鋼輸入で問題となるのが、中国からの輸入である。こうした保護主義的な動きは中国からの反発を招くのは必至である。中国に輸出している国内の企業や産業団体からは、中国の報復を懸念し、中国製品に対する関税引き上げや輸入割り当ての導入に反対する声が出ており、トランプ大統領に嘆願書を送っている。

中国からの輸入品の関税を引き上げると主張する一方で、中国を為替相場操作国に指定するという選挙公約は既に破棄されている。明確な対中国通商政策は見えてこない。同時にドイツや日本などの対米貿易黒字を批判し、その解消を要求している。その手段として二国間協定を推し進めるとしているが、これも簡単には実行に移せないだろう。

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