LINE「スマホの次」は早くも岐路に立っている AI強化だが先行投資に不安も

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戦略説明会では、LINEアプリのリニューアルも発表した。「LINEアプリの中で、人・情報・お金の3つが循環する形をめざす」(稲垣あゆみ執行役員)ためには、利用時間を増やす仕掛けを作るとともに、財布として使ってもらうことが重要だ。

このため、一番右端にある「モアタブ」を「ウォレットタブ」に変更し、商品購買・決済の入り口にするほか、右から2つ目の「ニュースタブ」も「ポータルタブ」にアップデートし、よりパーソナライズされた情報を取得できるようにする。

「いかに右側の方にいってもらうかが勝負」(関係者)──。LINEでもっとも使われているのは、左から2つ目の「トーク」だが、ここにとどまられると収益は上がらない。これよりも右側のタブを使ってもらうことが、マネタイズのカギを握る。

市場はこの変更を「ユーザーの利用時間の増加が期待される」(国内証券)、「LINEアプリにサービスを統合していく方向性は正しい」(外資系証券)と総じて前向きに受け止めたが、株価の上値は限られた。

説明不足

LINEはこの1年間、シェアがトップの日本、台湾、タイで足固めをするとともに、将来に向けた種まきを続けてきた。

だが、市場から聞こえてくるのは、先行投資への不安だ。「目指す方向性は間違っていないと思うが、投資に見合ったリターンが得られるかどうかは不透明」(外資系証券)。たとえばAIスピーカーは参入が相次いでおり、競争激化は避けられそうにない。

上場後からこれまで決算発表は4回あったが、上場直後を除く3回は発表翌日に株価が急落。市場の期待に応えられずに、失望売りを誘うというのが四半期ごとの風物詩となっている。

同社はモバイルアプリケーション市場について、不確実性が大きいとして業績予想を開示していない。注力している「LINEモバイル」事業も契約者数など基本的な数値を開示しておらず、投資家はその成長性を見極められずにいる。

こうした後ろ向きの情報開示姿勢も、四半期ごとに期待と失望を繰り返す背景にある。

三木証券・投資情報部課長、北澤淳氏はLINEの株価について「海外事業や日本のマネタイズに関する部分が期待に追いついていない」との見方を示した。期待と現実のかい離は説明不足から生じる。投資家の不安を払しょくするには、「期待」を裏付ける成長に向けた具体的な道筋について、より丁寧に説明していくしかない。

(志田義寧 編集:田巻一彦)

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