LINE「スマホの次」は早くも岐路に立っている AI強化だが先行投資に不安も

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 7月14日、LINEは「スマートフォンの次」を見据え、人工知能(AI)プラットフォームを搭載したスマートスピーカーの予約販売を14日に始めた。2014年9月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 14日 ロイター] - LINE<3938.T>は「スマートフォンの次」を見据え、人工知能(AI)プラットフォームを搭載したスマートスピーカーの予約販売を14日に始めた。インターネットへの「入り口」をスマホ以外に展開し、業容の拡大を目指す。だが、この分野は競争が激しいうえに、先行投資への懸念もくすぶる。

日米での上場から1年が経過したが、市場の業績に対する反応は鈍く、早くも岐路に立たされているとの指摘も出ている。

ポスト・スマホ

LINEは14日、スマートスピーカー「WAVE(ウェーブ)」の予約販売を始めた。ウェーブはクラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」を搭載、音声操作で「LINE MUSIC」が提供する約4000万曲の楽曲を再生したり、ニュースや天気などの情報を聞いたりできるのが特徴だ。

LINEがクラウドAIプラットフォームに注力するのは「スマートフォンの次」をにらんでいるためだ。すべてのものがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)の時代には、インターネットへの入り口はスマホやパソコンだけにとどまらない。

「ポストスマートフォン時代の中核サービスとしてクローバの開発を進めている」──。LINEの出澤剛社長は6月15日、都内で開催した事業戦略説明会でこう強調した。パソコンからスマホへの移行では、対応が遅れたIT企業は急速に競争力を失っていった。「スマホシフトの際に、脱落した会社を数多く見てきた。その意味で、危機感はすごくある」(関係者)という。

LINEが描くシナリオ通りに進めば、これまでスマホに閉じていたLINEのプラットフォームは、AIスピーカーで自宅に入り込み、トヨタ自動車<7203.T>との提携で自動車にも拡大。ファミリーマートと伊藤忠商事<8001.T>との提携でコンビニエンスストアでも活用されることになる。

出澤社長は「いままで以上にすべてがLINEでつながる世界を作る」と意気込んだ。関係者によると、ウェーブの製造原価は約1万3000円。それを、14日に予約を始めた先行体験版では原価割れの1万円で販売する。

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