日本の「ガラパゴス就活」を破壊せよ! 日本の就活と世界の就活はこんなに違う
理系の留学生は引く手あまた
――独自路線を行っているという意味で、秋田の国際教養大学はひとつのモデルとなりますか?
国際教養大学はすごいと思います。まだ歴史が浅いのに、国際教養大学がここまで評価されている理由のひとつは、「簡単に卒業させない」点にあります。実際、半分ぐらいの学生しか卒業できないですし、学生たちも覚悟を持って入学してきています。日本の大学の中であそこまで本気でやれた学校はありません。学長ガバナンスの独自性ですね。国際教養大学と同じことを一流大学がいっせいにやれば、日本の大学は大きく変わります。
そうした改革を行って、10年も経てば、大学でしっかり勉強した卒業生が世の中に多く輩出されます。その結果、日本の大学も就活も今とはまったく違った構造になるはずです。今の日本にあふれている「学生時代はまったく勉強していませんでした」といった会話はなくなっていくでしょう。
――世界の大学を訪問する中で感じる、日本の学生との違いはどこですか?
日本の学生に対して「どういう会社に勤めたいか」というアンケートをとると、「給料が高い」という項目はほとんど上位にきません。だいたい真ん中か下くらいです。それよりも、「社風がいい」「社会に貢献している」といった項目が上位にきます。日本の場合、おカネのことはあんまり言ってはいけない、という文化があるせいかもしれません。
しかし、海外の大学を訪問してアンケートを見せてもらうと、「給料の高さ」がトップ3の中に必ず入ってきます。
――日本の大学は、時代の変化に遅れていますが、企業側の変化スピードはどうですか。
企業側の変化は、すごく早いと思います。優秀な人材の獲得にこれまで以上に力を入れていますし、単にお勉強ができる人材ではなく、タフさ、交渉力、コミュニケーション力、問題解決力を兼ね備えた人材を見抜こうとしています。
今は、昔のように「会社に入ってから育てる」という時代ではなくなってきており、新卒にも、即戦力とは言わないまでも、実践力を求めるようになっています。その点は、ある種、欧米化してきています。しかも,新卒と中途の採用マーケットが、以前よりも融合してきていますので、新卒の学生も中途の人とある程度戦わなければなりません。
海外の学生は、大学時代にインターンシップをして、「私はこんな経験をしました」と企業に売り込んでいきます。日本でも今後は、具体的なインターンの成果を見せる必要が出てくるでしょう。たとえば、営業会社の面接での自己PRが「飲食店でバイトしていました」ではなく、「インターンでIT企業の営業を担当しました」というようなアピールが必要になってきます。単なるバイトではなく、目指す仕事に関連するインターン経験がモノを言う時代にすべきです。