都議選の結果を「数字」で分析してわかること 人々の政治への不信が高まっている
実際に今回の都議選では公明党の広報twitterが「3つのKでわかる 共産党ってどんな政党?」と題して、「汚い!実績横取りのハイエナ政党」「危険!オウムと同じ公安の調査対象」「北朝鮮!『危険ない』と的外れな発言」とイラスト付きで解説。共産党と壮絶な「場外バトル」を展開した。
しかし共産党が本当にバトルした相手は、自民党だったかもしれない。今回の都議選では、文京区、品川区、目黒区、豊島区、北区、江戸川区、日野市、北多摩1区、北多摩2区、北多摩3区の10選挙区で「最後の1議席」を自民党と共産党が争い、目黒区、品川区、豊島区、北区、江戸川区、北多摩1区、北多摩2区、北多摩3区の8選挙区で共産党候補が勝っている(北多摩2区の山内玲子氏は共産党支持)。
自民党が勝った文京区でも、差は115票とあと少しで逆転も不可能ではなかった。また日野市でも共産党は自民党に863票差と、僅差に迫っている。
なお文京区は安倍首相が都議選の最中に応援に入った4つの選挙区のうち、自民党候補が勝利した唯一の選挙区だ。選挙戦最終日の7月1日に秋葉原で大規模な街宣を行った千代田区は、都議会自民党のドンこと内田茂氏の後継者が都民ファーストの会の公認候補にダブルスコアで負けており、台東区では都民ファーストの会の公認候補と推薦候補に敗退。小金井市に至っては、自民党公認候補は次点にすら達していない。
人気者の小泉進次郎衆議院議員を応援に投入しても、その効果は薄かった。小泉氏が6月28日に応援に入った中央区、台東区、足立区、江戸川区では全て落選(江戸川区は自民党は2名を公認していたが、宇田川聡史氏は当選)し、29日に応援した小金井市と荒川区も全滅した。6月30日に応援に入った日野市と立川市は当選したものの、三鷹市と北多摩2区、同4区は落選している。「応援すれば勝率96%」と言われる小泉氏だが、その威力をもってしても、3勝9敗という散々たる結果となったのだ。
「無所属」が11万8450票から37万5048票へ急伸
その他、都議選前には3議席を保有していた東京・生活者ネットワークは1議席しか獲得できず、小池ブームで都民ファーストの会に票が集中した煽りを喰ってしまったといえる。これとは対照的に、無所属の票は11万8450票から37万5048票と、25万6598票も伸びた。この「無所属」の中には、都民ファーストの会の推薦を受けた者もいるが、今回が14度目の選挙になるマック赤坂氏など、そうではない者も含まれる。いずれにしろ、一部の有権者に政党離れが起こったと評価できるものだろう。
政党への不信は、51.27%という投票率でも伺える。前回より7.77ポイント上昇したものの、“おたかさんブーム”のきっかけになった1989年の都議選の58.74%や、民主党が躍進した2009年の都議選の54.49%と比べて、決して高いとはいえない。
実際に朝日新聞が都議選直前に行った調査では、都民ファーストの会の支持率は自民党と同じ25%だった。小池百合子東京都知事の支持率はこれよりも高いが、都議選直前に70%から59%へ急降下している。
都議選で生まれたカオスは、次の衆議院選まで続くだろう。それを打破できるかどうか。秋の政局にかかっている。
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