前代未聞、監査法人が金融庁を提訴したワケ 「処分勧告」は内部文書?金融庁が驚きの説明

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勧告は内部文書で、差し止めは不可

CPAAOBが公表した勧告文は、独立性の確認をしていない、新規契約時の対応に不備がある、残高確認で入手した回答を検討していない、大会社の監査経験がない者を審査専任担当者に任命している、経験ある定期検証責任者が定期検証に十分関与していない、などなど、かなり苛烈な書きぶりになっている。

これに対し、アリアの茂木秀俊統括代表社員は「チェックシートにチェックマークを付け忘れたり、一部のページで押印が洩れていたことをもって確認をしていないとか、検証していないとか指摘されている。また、5年前の検査時には全く問題視されなかったことが今回は問題視されており、甚だ不本意。結論ありきでいいがかりを付けられているとしか思えない」と憤る。

茂木代表によると、今回の勧告の対象になった検査が始まったのは昨年の1月。5年前の前回検査時よりも長期化する中、昨年6月、CPAAOBから「検査結果の確認事項(案)」が提示される。

CPAAOBが検査結果を検査対象の監査法人に対して知らせるもので、監査法人側は内容に不満があれば、「意見申し出」ができる。

アリア側の説明とは異なる内容になっていたため、「意見申し出」を行ったものの聞き入れられることはなく、年が明けると「CPAAOBから勧告を出す手続に移る、と言ってきた」(茂木氏)ので、今年3月27日、金融庁を相手取り、勧告と勧告内容の公表を差し止める訴訟を起こした。

行政事件訴訟法では、提訴と同時に「仮の差し止め」手続をとることができるので、同手続をとったものの、東京地裁の判断は「却下」。理由は「勧告は行政の内部文書であり、差し止めの対象にならない」というもの。内容の審理以前の問題として門前払いされた形だった。

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