キーエンス、3年ぶりに通常決算に復帰のワケ 4期連続の変則決算から久々の12カ月決算へ
快進撃はいつまで続くのか――。
日本有数の高収益・高年収企業として知られる、工場自動化向けのFA(ファクトリーオートメーション)センサー大手のキーエンス。同社は今2017年度から、3年ぶりに12カ月の通常決算となる見通しだ。
キーエンスは2014年度以降、1年間を3月21日~6月20日の3カ月決算と、6月21日~翌年3月20日の9カ月決算へと分割する変則決算を4期連続で繰り返してきた。
法人減税の享受が狙い
変則決算を繰り返してきた理由は法人減税だ。2015年度、2016年度と段階的に法人税は引き下げられてきたが、いずれも4月1日以降に始まる事業年度が対象。上場以来、3月21日から事業年度がスタートするキーエンスは、そのまま12カ月決算を維持した場合、減税のメリットを受ける時期がずれ込むことになる。
この遅れを避け、減税によるメリットを少しでも早く享受するために採られた策が先の変則決算だ。6月から新たに事業年度をスタートさせることで、その年度分は減税メリットを享受することができる。
今年度は税率の引き下げがないために事業年度を分割する必要がなく、通常の12カ月決算に復帰する。事業年度を4月1日始まりに変更することも考えられるが、多数の顧客と取引を行っていることから契約変更などに大きな手間がかかるため、そのような変更は考えていないという。
節税をしっかり行うキーエンスだが、本業を見てもこれほどの高収益企業は珍しい。変則決算分を合算して12カ月分の売上高と営業利益を計算すると、昨年度は売上高4126億円、営業利益2189億円。稼ぐ力を示す売上高営業利益率は、製造業でありながら53%という驚異的な数値をたたき出している。
キーエンスの利益率の高さは、同業のFA関連企業と比較すると一目瞭然だ。昨年度は三菱電機が6.3%、オムロンが8.5%だった。経済産業省の調査によれば製造業の平均的な営業利益率は4%台半ばであることを考えると、この2社も決して利益率が低いわけではないものの、キーエンスは群を抜いている。
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