効果は見えない?「時差Biz」本当に定着するか 混雑緩和「数字は出ないかも…」

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同社はこれらの施策について「一定の効果は出ていると考えている」というものの、数値的には「(シフトしたのは)5%には達していない」という。鉄道会社が個人に呼びかけるキャンペーンでの大幅なピークシフトは、なかなか難しいのが実情のようだ。

そんな状況だけに、都が主体となって推進し、企業や自治体、鉄道各社などを巻き込んで行う「時差Biz」には一定の期待が集まる。

だが実は、今回の「時差Biz」期間中に肝心の混雑緩和がどの程度達成されたのか、数値的に知ることは難しそうだ。

東京都都市整備局によると、今回のキャンペーンでは、参加した企業に対して社内での状況や意見、社員の感想などを尋ねるアンケートを実施するとしている。しかし、鉄道の混雑率については「改札の(通過)データなどを提供してもらえないかと鉄道事業者にお願いはしている」ものの、「今回は、期間中の定量的な効果を数字で出すのは厳しそう」な状況だという。

期間後の検証は大切だ

都は今回の「時差Biz」キャンペーンについて「まず、できる範囲で参加してもらい、空いている時間に通勤することの快適さをわかってもらう」ことが狙いと説明する。データ的な分析よりも、まずは企業や個人がそれぞれできる範囲で時差出勤やテレワークなどを行い、それぞれに快適だと感じてもらおうというスタンスだ。

ピーク時以外の通勤を体験してもらい、ふだんよりも楽だと実感してもらうことは、時差通勤の普及に向けては確かに意味があるだろう。だが、満員電車の解消を目指すのであれば、現在のピーク時である8〜9時ごろから利用者がどの程度分散したのかを、データで検証することは重要なはずだ。効果や課題が目に見えなければ、期間中のかけ声だけに終わってしまう可能性もある。

小池知事が環境相時代に提唱し、今では社会的にも定着した「クールビズ」にちなんだネーミングという「時差Biz」。はたしてクールビズのように浸透するか、今年始まった「プレミアムフライデー」のように「失敗」といわれるようになってしまうか。実効性ある取り組みとするためには、事後の検証がしっかり行われることも重要だ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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