相模鉄道が朝の列車を「あえて」減らしたワケ 本数や車両数削減で何が変わる?
東京都の小池百合子知事は選挙公約の一つに「満員電車ゼロ」を掲げて当選した。いまのところ小池都知事は豊洲市場や東京オリンピックに関連する問題に忙殺され、都心部の鉄道各線で毎朝繰り広げられている通勤ラッシュ対策にはまだ手を付けていないように見える。
国土交通省の運輸政策審議会は2000年1月に出した第18号答申で、2015年までに朝のラッシュの混雑率を150%に下げるとの目標を掲げた。150%の混雑率とは「広げて楽に新聞を読める」状態だそうだ。小池都知事の考える「満員電車ゼロ」の車内の様子とはどのようなものかははっきりしないものの、混雑率100%、つまり定員での乗車を想定しているのではないだろうか。ちなみに、混雑率100%とは「座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる」状態である。
実を言うと、東京の鉄道は朝のラッシュ時に混雑率100%どころか、運輸政策審議会の立てた目標ですらいまだに達成できていない。2015年度の東京圏主要31区間におけるピーク時1時間の平均混雑率は164%である。
下がった混雑率を「上げた」鉄道がある
東京圏の朝のラッシュは相変わらずではあるが、それでも徐々に緩和されてきた。1998年度の平均混雑率は183%で「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」状態であったことを思うと、現在はいくぶん楽になったと言える。混雑率の低下は、鉄道事業者が輸送力を上げたいっぽう、時差通勤・通学によって通過人員が減ったことなどで実現した。今後もこの状況を維持し、混雑率を下げてほしいものだ。
さて、東京圏のすべての路線における混雑率の推移を眺めていると不可解なデータに出くわす。輸送力を増強して一旦混雑率を下げたにもかかわらず、その後輸送力を調整してあえて混雑率を上げた鉄道事業者が存在するのだ。その鉄道事業者とは相模鉄道であり、路線、区間は本線の平沼橋駅から横浜駅までである。
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