安倍首相のオーラは国際社会でも陰っている G20ではメラニア夫人の「内助」が光ったが…

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そのコンサートホールの国際映像で、トランプ夫妻のやりとりが大写しされた。トランプ氏が「あの指揮者は誰か」とメラニア夫人に聞いた。それは夫人の口の動きで明らかになったのだが、夫人はフルネームで「ケント・ナガノ」と教えていた。

トランプ氏がクラシック音楽にあまり造詣が深くないことは知る人ぞ知ることだが、そのへんをよくわきまえている夫人ならではの振る舞いだった。

メラニア夫人が発揮した「内助の功」

メラニア夫人の「内助の功」が発揮されたのは、コンサートの場だけではない。実は、この2カ月間、メラニア夫人は夫のトランプ氏をひそかに鍛えてきた。今回のG20サミットでは、その成果が、随所に発揮された。

たとえば、この5月以来、トランプ大統領が夫人の手を取ろうとすると、メラニア夫人はその手を振り払った。専用機のタラップから降りるとき、あるいは晩餐会に向かうときの赤絨毯を歩くとき、その振る舞いが、ほんの一瞬、さりげなく演じられた。

メラニア夫人はなぜ手を振り払ってきたのか。社交界のマナーの1つとして、仲の良いカップルが手をつながずに会場に入るとき、その男性は自立した男性として、たった1人でも戦う戦士という「ロバスト」(男らしい強さ)を示すものとされる。メラニア夫人はそのマナーを心得ていて、そうした。

今回、トランプ大統領が初めて臨んだ、G20サミットという国際舞台で、手ごわい相手といえば、国際政治家として最もマッチョなイメージを持つロシアのプーチン大統領をおいてほかにない。メラニア夫人が手を振り払ってトランプ氏に示したのは、「さあ、これからはあなた1人で戦うのよ」と檄を飛ばす合図だったとみていい。

「ロバスト」とは、オペラの世界で男性的なたくましい声を表現する英語である。米国の男女の間では、「ロバスト」を発揮させるように夫を激励し、コントロールするのが夫人の重要な役割とされる。メラニア夫人はまさにその役割を演じたといえる。

そのあと、トランプ大統領はプーチン大統領と長時間にわたって渡り合い、固い握手を2度も交わした。メラニア夫人の「ロバストたれ」という励ましが効いたのだ。

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