東洋経済が3カ月に1度発刊する「会社四季報」最新号となる2017年3集(夏号)の集計では、金融を除く全産業の上場企業3075社について、今年度(2017年4月~2018年3月期)の純利益合計が前期比13%増になると予想している。
純利益とは、企業の営業活動によって生み出された売り上げから原価や費用だけでなく、本業以外の損益を合算したうえで、法人税をはじめとする税金を支払って、最終的に会社に残る利益。配当の原資にもなり、その名のとおり、会社が稼いだ純粋な利益である。
企業は短期的に業績が良くても意味はなく、原則として継続的に収益を出していかなければならない。長い期間で利益をキッチリと出し続けているのは、どんな企業なのか。東洋経済オンラインはそんな観点から、過去10年にわたって純利益を積み上げてきた企業を独自に調べ、トップ500社をランキングした。昨年も同じテーマのランキングを作成しているが、最新版のデータとなる。
調査対象は2017年2月期までに本決算を迎え、上場を続けてきた企業。上場期間が10年に満たない会社や決算期の変更などによって変則決算を行ったためにデータがそろわない上場企業、金融機関は原則として省いた。有価証券報告書の集計に一定の時間を要することから、最新2017年3月期決算を反映できていない点はご容赦いただきたい。
この調査を開始して以来、不動の1位を守っているのはトヨタ自動車。過去10年間の累計純利益は11兆0974億円と唯一10兆円の大台を超えた。リーマンショック後の2009年3月期に4369億円の純損失を計上したものの、それ以外の期では安定的に純利益を残している。2015年3月期と2016年3月期は、2兆円を上回る純利益を出すなど他社を突き放している。
2位は日本電信電話(NTT)で、積み上げた金額は5兆4856億円。過去10年間は最低でも4500億円以上の純利益を積み上げていて、安定感が目立つ。さらに調査対象の最終年だった2016年3月期は最高益だった。2016年3月期の業績をセグメント別にみると、マーケティング費用や設備投資の削減によって地域通信事業が増益となったほか、移動通信事業も好調だったことが好業績の要因だった。決算短信で公表した2017年3月期も最高益を更新した。
上位30社が過去10年で1兆円超の純利益を積み上げ
4位はホンダで4兆1385億円。事業規模の大きい自動車業界から上位にランキングされる会社は多いが、為替や景気の影響を受けやすい業種のため、10年のうちに1度くらいは純損益がマイナスになる会社も目立つ。ランキングには単年度で最小となった損益も掲載しているが、ホンダは単年最小の年でも1370億円の純利益を出していて、為替の影響を受けにくい体制を整えて、安定的に積み上げていることが読み取れる。
資源価格の下落が響いて純損益がマイナスになった三菱商事と三井物産は、これまでに積み増してきた利益額を取り崩した。一方で、ソフトバンクグループ(2兆7397億円)は2つ順位を上げて8位に食い込んだ。今回の集計対象には含んでいない2017年3月期では、単年度の当期純利益で1兆円の大台を突破したので、これを含む来年の調査ではさらに上位にランクインする見通しだ。任天堂までの上位30社がこの10年で1兆円以上の利益を積み上げたことになる。
毎年、このテーマの記事で繰り返しているが、上位に並ぶのは日本を代表する優良企業ばかりだ。大きく利益を稼いで原資を確保し、設備投資、研究開発、M&A(企業の合併・買収)などへ積極的に資金を投じ、さらに企業体力を高めていくと、なかなか業界下位や規模の小さな企業が追いつくのは難しい。
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