「学校給食」が子どもの成績を左右する理由 米国では給食を見直す動きも

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カリフォルニア大学バークレー校のマイケル・L・アンダーソンらが4月に発表した論文によると、「健康的な給食を提供する業者と契約している学校の生徒」のほうが、州の学力テストで成績が高いことを示す研究は複数ある。彼らの集計では、あまり健康的ではない給食の学校に比べて順位が4パーセンタイル高かった。

「小さな差ではあるが、校内で調理するより低コストで健康的な給食を提供する業者と契約すれば、成績向上の費用対効果はかなり高い」

ミネソタ州は全世帯の10%が「食料不安」を抱え、6人に1人の子どもが飢えのリスクに直面しているとされる。2014年のワイルダー・リサーチの報告書によると、「ミネソタ州健康改善プログラムの柱」は、学校給食の栄養面の改善だ。セントポールのアーネスト・H・ワイルダー財団によると、複数の調査で、無料で朝食を出すだけで出席率が向上し、生徒の振る舞いが改善され、集中力も成績もアップしている。

栄養は学習に影響を与える

カリフォルニア大学バークレー校の論文によると、「栄養は、体の発育(視力など)、認知(集中力や記憶力など)、振る舞い(多動性など)の3方向から学習に影響を与える」。たとえば、トランス脂肪酸と飽和脂肪が多い食事は、体内で認知処理を助ける物質を減らし、神経機能障害のリスクを高め、学習と記憶にマイナスの影響を与える。

学校からは、子どもたちは健康的な食事を好まず、食べ残しが増えるという不満も出ている。しかし、ピュー・チャリタブル・トラスツが分析した3つの大規模な調査では、栄養改善のルールに沿った給食を導入した学校で、具体的な成果が出ている。コネチカット州では12の学校で廃棄率が減少。テキサス州南東部の8つの小学校は野菜と果物を食べる量が増えた。さらに、ハーバード大学公衆衛生大学院が調査した4つの小学校では、主菜と野菜を食べる量が増え、果物を食べる生徒も増えた。

コーネル大学は2012年に、ニューヨークの4つの高校で実験を行った。カフェテリアで健康的なメニューを選びやすくすると、実際に選ぶ生徒が18%増え、健康に良くない食事の摂取量(グラム単位)が28%近く減ったのだ。

同大学の2009年の実験でも、サラダの場所をフロアの隅から中央に移動するだけで、食べる量が増えている。研究チームは新たな試みも提案する。たとえば、サラダの代わりにデザートやソフトドリンクなど、健康に良くないメニューを選ぶ場合は有料とすれば、給食プログラムの予算に影響を与えることなく、より健康的なメニューの消費量を増やせるかもしれない。

実験はまだ続いているが、学校の簡単な取り組みで子どもの食事に影響を与えられるだろうと、研究チームは指摘している。

(執筆:JANE E. BRODY、翻訳:矢羽野薫)

© 2017 New York Times News Service

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