「学校給食」が子どもの成績を左右する理由 米国では給食を見直す動きも

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ハーディング校とは似ても似つかない光景が、昼食時に繰り広げられる学校もある。給食費を払っていない生徒が同級生の見ている前で給食を没収されたり、粗末なメニューを強制されたりすることが、一部の学校で日常的に行われているのだ。

アメリカの学校給食が直面している問題

罪のない生徒をさらし者にすることももちろん深刻だが、アメリカの学校給食が直面している問題はそれどころではない。バラク・オバマ前政権の下で給食の栄養価は大きく改善されたが、共和党が過半数を占める下院とドナルド・トランプ政権が一連の取り組みを台なしにしようとしているのだ。

ミシェル・オバマ大統領夫人(当時)が掲げた子どもの肥満撲滅キャンペーンのもと、2010年に「ヘルシー法(健康で飢えのない子どもたちのための法律)」が制定された。全米で学校給食が見直され、野菜や果物、全粒粉の穀物を増やし、年齢に合ったカロリーを計算して、塩分を減らしてトランス脂肪酸を排除するなどの方針が定められた。給食の改善に取り組む学校には補助金も支給されている。

しかし、下院は2015年の農業歳出に関する法律に、理由にかかわらず半期で赤字を計上した学校は、ヘルシー法で定められた健康的な給食を採用できないという条項を盛り込んだ。

ソニー・パーデュー農務長官は今年4月に就任してからわずか数日で、高校の給食改革を3年前に巻き戻した。塩分の基準が緩和されたのだ。今後は精製した穀物も使えるようになり、無脂肪牛乳の代わりに脂肪分1%の味付きミルクが出される。次は、そのほかの脂肪や野菜、果物、カロリー計算の番だろうか。

栄養バランスの取れた十分な量の食事を学校で提供することは、多くの人が思っているより重要だ。「規則正しく健康的な食事をしている生徒は、疲れにくく、授業をよく聞いて、より多くの知識を吸収する」と、ニューヨーク大学スタインハート校のショーン・パトリック・コーカラン准教授は『アトランティック』誌に語っている。

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