「ルールづくり先行」の働き方改革にモノ申す ほぼ日とカヤックはそれをなるべく作らない
柴田 :ほぼ日は「そもそも」というキーワードが多い組織という印象があります。糸井さんに「予算つくりましょうか」と聞いても、「どうかな……」とそもそも論になってしまう、みたいな。
篠田:「そもそも」というのは、私たちが企画をつくるときの考え方の根幹にありますね。たとえば、「室町時代の人、平安時代の人でも喜ぶのか?」という観点で考えを深めるタイミングがあるんです。今はやっているからではなく、企画の根っこは、時代を超えて老若男女が持つ根源的な喜びにつながっているのか、というのを考えています。
柴田:それって見方によっては、非効率ですよね。事業のつくり方が、仕事に人をつけるか、人に仕事をつけるかで言えば、明らかに後者です。前者は事業や業務内容に合う人材を集めれば、それぞれの仕事領域も明確になるので、9時~17時の会社はつくりやすいと思いますが、後者は難しいですよね。
篠田 :確かにその観点から言ったら極めて非効率です。ただ、最終的にはどちらの形であっても、事業としての目的、つまりお客さんがもっと生まれて利益が出る形が成立すればいいわけですよね。今のほぼ日は、個々が縦割りの中で決まったことをやるよりも、一人ひとりに独立性があり、その人の動機でもって物事を生み出していったほうが顧客の創造と利益に合うと思っています。
ルールを先につくっては駄目
横石:今回の対談にあたって、ほぼ日のサイトを改めていろいろ拝見しました。ルールに対する考え方みたいなことは外部サイトも含めて発信されていたんですけど、それと比較してほぼ日自体のルールはすごく少ないなという印象を受けました。
篠田:これはたぶん糸井が言った話ですが、「事実が先、ルールは後」。このサイズの会社であれば性善説で動けるんで、ルールを先につくっては駄目なんです。ほぼ日は、先に非公式プロジェクト的に始めてしまって、そのメンバーのなじみ方とか、そのミッションが思ったとおりに成就しそうなのかとかをしばらく見て、まわっているんだったら組織図に載せようかみたいな感じです。
柴田:つくっちゃうんですね、事実を。そう言われてみると、ルールが先って多いですよね。
篠田:株式上場に向けた準備をしながらなるほどと思ったのが、国レベルで物事を動かすときはルールが先にならないと駄目な場面ってたくさんあるから、お役人の方々がルールを先につくるんです。
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