「ルールづくり先行」の働き方改革にモノ申す ほぼ日とカヤックはそれをなるべく作らない
柴田 史郎(以下、柴田):そもそもカヤックに一体感はないって思っていたんですが、OSの話を聞いてカヤックもOSのアップデートをしながら一体感をつくっているなと思いました。カヤックの場合は、それがブレーンストーミングなんです。「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」というフランスの詩人の言葉があるんですが、悩んでいるときにはアイデアがなかなか出てこない。
でも、発想体質の人は、悩んだり困ったりしたときにいろいろな選択肢を思いついて、なんとかなるだろう、みたいな話になります。カヤックは仕事でも何でも面白がれる人を大事にしているので、ブレーンストーミングをみんなができるようになることを目指しています。
篠田:面白法人としてアイデアを大切にしているわけですね。
柴田:社内で何か意見を求められたときに、僕がまったくいいなと思ってなくてもとりあえず「いいじゃん」と言って、いくつかアイデアを出すんです。賛成じゃなくても、乗っかれるところまではOSとしてできている。そういう人がそろっているから、外から見ると一体感があるように見えますけど、みんな好きなことを言って、乗っかっているだけではあります。
横石:一体感と言ってもいいし、明らかにカヤック風味みたいなのはありますね。
会社に必要な求心力
柴田:一体感の話につながると思いますが、「共通言語で話をする」っていうのは会社に必要な求心力のひとつかなと思っていて。カヤックは「サイコロ給」(基本給+サイコロの出目でプラスアルファの給与が支給される仕組み)など制度の名前に流通力を意識したことで、カヤックの文化を象徴する制度になっていきました。
ほぼ日も、社員のことを「乗組員」と呼んだり、さすが言葉の天才がつくった会社だなという共通言語がありますよね。先ほどお話に出ていた「魚を飼うことは水を飼うこと」とかも天才的です。
篠田 :共通言語やネーミングは大事ですよね。ただ、ネーミングに関しては「そこにうそはないか?」をとても問います。もちろん意図的なうそは駄目ですよ。だけど、意図的なうそというよりも、考えが足りなかったせいで実は違うみたいなことってありますよね。そういうことを、とても問われる会社だと思います。表現の工夫そのものよりも、これはなんだというのを考えている。
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