「ルールづくり先行」の働き方改革にモノ申す ほぼ日とカヤックはそれをなるべく作らない

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横石:連載テーマにもなっているちまたの「働き方改革」も、ルールが先行してますよね。

柴田 史郎(しばた しろう)/面白法人カヤック 人事部長

篠田:そもそも働き方改革ってなんですか、というのはありますよね。特にそれらの対象になっていそうな大企業の知り合いに会う度に聞いているんですけど、みんな答えがわからなくて……。

横石:ひとつは、長時間労働をやめろということだと思います。電通の件から、強制退社を始めた企業も多いですよね。

柴田 :僕、昨日けっこう大きい企業の方と面接をしていたのですが、その方が職場に自販機やウォーターサーバーなどの備品を置きたいと希望してから3年後にやっと決裁が通った、という話をしていて。すごいなと思ったんですけど、それぐらい機能不全の会社がけっこうあるんだったら、「とりあえず労働時間を短くしろ」ぐらいの感じでやらないと、救えない状況もあるのかなとは思いました。

人に合わせて組織が変化していく

横石:働き方をめぐる今のような混沌とした状況に対して、会社としてなにかメッセージを発信していこうとか、大事にしている部分はありますか?

篠田:働き方改革が話題になっている頃に、糸井がインタビューを積極的に受けていました。「ちゃんとメシ食って、風呂入って、寝てる人にはかなわない」と。働くことを時間だけでとらえると、働いている時間と働いていない私の時間という二項対立のように見えちゃうんだけど、毎日積み重ねる「生きる」時間の中に健康を保つことも、人との信頼関係を築きながら働くこともある、と。

「ほぼ日は、健康第一、おもしろ第二。一生懸命仕事をして、それが面白いと思ったり、充実感があって、それで報われるチームである」と、皆さんに見ていただけたらいいなと思っています。

柴田:カヤックのいちばんの福利厚生は「面白法人」であり続けることだと思っています。OSとしてブレーンストーミングがインストールされている人に囲まれることで、何げなく発した一言に皆が乗っかり、それがビジネスに昇華していくことも珍しくない。

なにせ葬儀関連の子会社設立が1時間で決まるような組織ですから。組織運営としては計算がしづらく、非効率な面がある一方で、人に合わせて組織が変化していく、組織を自分色に染められる醍醐味を味わえる。それが面白法人たるゆえんで、その根源を守るためなら、それに対するコストを請け負ってでも、ルールを(できるかぎり)つくらない組織であろうと思っています。

(構成:砂流 恵介)

横石 崇 &Co. 代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー

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よこいし たかし / Takashi Yokoishi

多摩美術大学卒。2016年に&Co.を設立。ブランド開発や組織開発、社会変革を手がけるプロジェクトプロデューサー。アジア最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では3万人の動員に成功。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」や渋谷区発の起業家育成機関「渋谷スタートアップ大学(SSU)」、シェア型本屋「渋谷◯◯書店」などをプロデュース。法政大学兼任講師。著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。

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