「殿ご乱心!」安倍首相の言動に揺れる永田町

自民が都議選で惨敗なら、2007年の悪夢も

菅義偉内閣官房長官は「獣医科大学全体の応募倍率は15倍ある。引き続き手を挙げる学校がある可能性はあるのではないか」と首相発言をフォローしたが、国家戦略特区を推進する内閣府も当惑を隠さない。首相の盟友を自任する麻生太郎副総理兼財務相も「(獣医学部の新設は)獣医師の質の低下につながる」との認識を示した。野党側は「これまでの政府の説明の根本をひっくり返す発言だ」(山井和則民進党国会対策委員長)と反発し、臨時国会の早期開催や閉会中審査を強く求めたが、自民党側は拒否した。

一方、新たな自民改憲案については、首相側近の下村博文幹事長代行が「11月上旬までにまとめる必要がある」と発言したが、党憲法改正推進本部は「新たな改憲案を年内に取りまとめて来年の通常国会の提出」という方針を固めたばかりで、「いきなり前倒しされても、党内調整ができない」(幹部)と悲鳴を上げる。

船田元推進本部長代行は自らのホームページに「改憲勢力が3分の2を占めているときに、早く発議してしまおうという考えは国民投票でしっぺ返しを食らう可能性が大きい」と書き込んだ。また、石破茂前地方創生担当相は、首相の一連の言動や内閣支持率の急落について、「時間が経てば人は忘れるだろうと高をくくっていると、恐ろしいことが起こる」と警告した。

「魔の2回生」豊田議員の破壊力

首相の神戸講演前日の6月23日夕刻には、「『総理のご意向』を示す文書は確かにあった」との告発会見(5月25日)をした前川喜平前文科事務次官が、あらためて日本記者クラブで会見して政府批判を展開するとともに、首相側近の萩生田光一官房副長官による「総理は平成30年開学とお尻を切っていた」などの発言を明記した文科省文書についても、「書いた課長補佐は優秀な人物で、あえて虚偽の事実を盛り込むことはありえないし、聞き間違え、取り違えはありえない」と断言した。

これと同時進行で大騒ぎとなったのが自民党の豊田真由子衆議院議員の秘書に対するパワハラ事件。6月22日発売の週刊新潮が「『豊田真由子』その女代議士、凶暴につき」の大見出しで記事を掲載した。当時の男性秘書が5月20日、豊田氏を乗せて運転中、後部座席から「この、ハゲ(禿)ーッ!」「 ちーがーう(違う)だーろーっ!」などと罵(ののし)られ、殴られたという内容は、ネット上で録音も公開されて、運転中の秘書を後部座席から殴る「ボコッ」という音も含まれていた。豊田氏は23日に離党届を提出して「入院」を理由に雲隠れしたが、永田町では「また『魔の2回生』のスキャンダル」(蓮舫民進党代表)との批判が渦巻き、自民幹部も「都議選にも響く」と頭を抱えた。

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