原子力機構、核容器4500個不適切保管の実態

プルトニウム被曝事故の深刻な背景とは?

6月6日の被曝事故は、規制庁の指摘を受けて、不適切な保管状態を是正する作業のさなかに起きた。核物質の収納スペースを確保するため、貯蔵庫に保管されていた容器を取り出し、その空き容量をチェックしようとしたところ、容器の内側のビニール袋が破裂して核物質が飛散した。

事故原因の究明はこれからだが、原子力機構のリスク認識の甘さが引き起こした面は否定できない。破裂した容器の内容物の化学的組成を正確に把握できていなかったにもかかわらず、作業に際して作成した「一般安全チェックリスト」では、爆発や破裂、飛散のおそれについて「該当しない」にチェックが入っていた。そのため、密閉構造ではない作業エリアで開封した。

当記事は「週刊東洋経済」7月01日号<6月26日発売>からの転載記事です

事故後には、容器が26年にわたって開封チェックされていなかったことも判明。ステンレス容器内側のビニール容器の膨れが別の施設で報告されていたにもかかわらず、組織全体ではリスクとして十分に認識されていなかった。

規制庁は6月21日、大洗研究開発センターへの立ち入り検査を実施。その過程で、被曝事故につながった作業に関しては、容器一つひとつのリスクを踏まえた具体的な作業計画書がなかったことが判明したという。

検証は急務、重大事故再発のおそれ

日本最初の原子炉を稼働させるなど、原子力開発のパイオニアである原子力機構でなぜこのようなずさんな管理が蔓延していたのか。

原子力委員会で委員長代理を務めた鈴木達治郎・長崎大学教授は、「内容物のきちんとした記録がないというのは想像しがたい。核物質を長期にわたって適切に管理するための予算が確保されていたのかを含めて、検証すべき点は多い」と指摘する。

高速増殖炉もんじゅでの約1万もの機器の点検漏れ発覚など、原子力機構は伏魔殿だ。このままでは重大事故が繰り返される可能性がある。

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