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「残業地獄」からそれでも逃れられない人たち 物流業者「われわれは切り捨てられたのか」

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現行の残業規制は、労使協定(36協定)で定める残業時間の限度を、法律ではなく厚生労働大臣の告示で定めている。原則こそ月45時間以内かつ年360時間以内とされているが、罰則などによる強制力がないうえ、労使が合意し「特別条項」を設けることで、青天井で残業させることが可能となる。

抜け穴だらけの残業規制の結果、長時間労働の改善は進まず、子育てや介護と、仕事との両立が困難になっている。うつ病など精神疾患による労災の請求件数は右肩上がりで増加しており、メンタルヘルスの問題は深刻化している。

実態を問題視した政府は2015年4月、大企業による違法な長時間労働について全国的な調査を専属で行う、過重労働撲滅特別対策班(通称:かとく)を東京と大阪の労働局に設置した。同年7月の靴販売大手・エービーシー・マートを皮切りに、次々と大手企業に立ち入り調査を実施、書類送検を行ってきた。

6月14日、東京労働局は旅行会社大手、エイチ・アイ・エスを違法な長時間労働を行ったとして書類送検した。立ち入り調査を担ったのは、かとくだ。調査によれば、エイチ・アイ・エスは2015年6月から9月にかけて、団体営業を担当する40代女性、店頭で接客を行う20代女性に労使協定を超える月100時間前後の残業をさせていたというものだ。グループ代表の澤田秀雄会長兼社長のほか、現場の労務管理担当者2人を書類送検した。かとくが問題視したのは、「違法な残業を許す風土があったこと」(戸谷和彦・統括特別司法監督官)。少なくとも2010~2014年度の5年間で十数回の是正勧告を受けたが、改善が見られなかったとされる。

ターニングポイントは電通の過労死事件

こうした流れの大きなターニングポイントとなったのが、過労自殺した広告最大手・電通の新入社員、高橋まつりさん(享年24)の昨年10月の労災認定だ。翌11月にはかとくが電通本社に家宅捜索に入り、昨年末には同社を書類送検した。ある労働基準監督官は、「大変痛ましい事件だったから、過重労働をなくしていくべきという世論の後押しを感じる。ご遺族の記者会見をきっかけとした世論の盛り上がりがなければ、電通を書類送検するところまでは、とてもいかなかったと思う」と語る。

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