安倍政権、8月改造で支持急落を止められるか 「青木率」なお高いが、都議選での苦戦は必至
首相は記者会見で「(野党の)印象操作のような議論に、つい強い口調で反応してしまう私の姿勢が、政策論争以外の話を盛り上げた。深く反省している」と陳謝した。これは首相自身が「森友学園疑惑」で「私や家内、あるいは私の事務所が関与していれば総理大臣はもとより議員も辞める」と啖呵(たんか)を切ったことへの反省だ。この発言が森友問題に関係する官僚などの「忖度(そんたく)」につながり、疑惑拡大の原因にもなったからだ。
首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園の今治市での獣医学部新設問題の疑惑と今回の政府側の対応も「ほぼ同様の構図」(共産党幹部)だ。朝日新聞が特ダネとして「文部科学省に『総理のご意向』を示す文書があった」と報じた際の菅義偉官房長官の「怪文書」発言も、再調査で文書の存在が確認されたことで事実上の撤回に追い込まれた。こうした一連のドタバタ劇が国民の目には「"数の力"を過信した政権の隠蔽体質」(同)と映り、支持率急落につながったことは間違いない。
"青木率"では、なお超安定政権だが
ただ、「内閣と自民党の支持率の合計が50を切ったら政権は危険水域」(青木幹雄元官房長官)という永田町に伝わる"青木率"で見れば、40%台の内閣支持率と30%台の自民党支持率の合計は80前後で、歴代政権と比べて超安定政権だという見方もできる。首相サイドが「共謀罪」法案の強行突破による支持率下落について「想定内」と口をそろえ、菅官房長官も「支持率は高いほうがいいが、一喜一憂しない」と平静を装うのも「まだまだ政権には余力がある」(自民党幹部)と考えているからだろう。
首相夫人の昭恵氏が絡んだことで"大スキャンダル"の扱いとなった「森友学園疑惑」は、首相記者会見の直後に大阪地検特捜部が籠池泰典前理事長らに対する強制捜査に着手したことで刑事事件に発展した。容疑は詐欺と補助金適正化法違反だが、国会閉幕と首相会見にタイミングを合わせたような捜査着手に「これもある種の忖度では」(民進党幹部)との指摘も出ている。
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