「北斗の拳」のザコが舞台で主役を張れるワケ

「世紀末ザコ伝説」が映す人気作品の世界観

また、2.5次元はアニメや劇場版に比べると低予算で開催できるという事情もある。

テレビアニメの場合、1話当たり最低でも1200万円以上かかり、1クール(12話)完成させるだけでも億単位の費用が必要となる。劇場版アニメの場合は数十億かかるケースもある。

それに対し、舞台化のコストは約1000万~2000万円と格安だ。会場の収容人数の関係で売り上げの限界値も低めになるものの、手堅い企画として開催できる。今回の『北斗の拳』のような「とがった」企画も打ちやすい。また、原作ファンのほか、役者のファンがリピーターになる率が高く、ビジネスモデルとしては安定している。

北斗の拳の「世界観」を支えるもの

とはいえ、どんなにローコストでも集客が見込めない企画は実現できない。実際、舞台化のほとんどは原作エピソードの再現や人気キャラクターをメインに据えたスピンオフだ。また、2.5次元の客層には20~30代女性が多いことから、イケメン俳優やイケメンキャラクターを重視する傾向もある。

そんな中、『北斗の拳』の舞台化は流行の逆をいく。キャラクター人気にも、女性層の集客にも頼らないという、舞台化企画の常識をひっくり返す企画だ。

『北斗の拳』のザコたちは、名前もなければ活躍の機会も与えられない。出てきて数コマでケンシロウに倒され、振り返られもしない。彼らは存在するだけで価値がある。生きていても、倒されても価値がある。グーグルの画像検索で「世紀末」を検索すれば、彼らの笑顔が画面を埋め尽くす。舞台化のサブタイトル「世紀末ザコ伝説」は、その実『北斗の拳』という作品の本質を言い当てている。

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