そして2017年1月には、ヘリコプターマネーを真正面から論じた本を執筆したアデア・ターナー氏、そして「物価の財政理論」を使い拡張的な財政政策の提言を行うシムズ教授が来日した。これらも安倍政権が、経済政策に関して幅広く意見を吸い上げる動きの一環とみられる。
「債務と税のジレンマ解消策」は経済学に沿ったもの
さらに3月にはスティグリッツ教授が経済財政諮問会議に出席している。同教授の資料では、消費税の引き上げに反対、そして「債務と税のジレンマの解消」として以下のような提案がなされている。
・政府(日銀)が保有する政府債務を無効にする
・債務を永久債あるいは長期債に組み替えする
・永久債の発行は、政府支出に必要な追加的歳入を調達し経済を刺激する低コストの方法である
永久国債発行や国債無効化などの手法で、拡張的な財政政策が実現できる政策オプションを安倍首相に提示している。この点について、最近のフォーブス社によるインタビュー記事で、スティグリッツ教授は再度わかりやすく述べている。
この記事も読んでいただきたいが、「日銀保有の国債無効化は不可能ではないか」との疑問に、スティグリッツ教授は以下のように答えた。
・日銀保有国債を、永久ゼロクーポン債に組み替える
・公的部門である日銀が大量に保有していることは、政府自らが国債を保有していることを意味する。その分、永久債に組み替えることで、国債の債務残高を減らすことが可能である
・これらは、経済学の基礎理論に基づいた政策である
日本のメディアに登場する論者の主要な見方は「日本の財政状況が深刻な状況にある」「国債残高が積み上がり財政政策による拡張的な政策が難しい」といったものだろう。
だが実際には、ノーベル経済学賞を受賞した大物経済学者は、これとは正反対の見解を「経済学の基礎に基づいた提案」としている。
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