中国の「大気汚染との闘い」は掛け声倒れだ 失望する住民たち

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2008年以来、館陶化学工業団地は付近の農地を少しずつ買収し、現在では農薬やベンゼンなどの有毒物質を製造するプラントを10施設以上含むようになった。

一部の住民は、汚染のために育たなくなった綿花やサツマイモの栽培を諦めて、別のもっと丈夫な作物に切り替えたと話している。

ロイターの取材陣が夜明け近くにこの地域を訪ねたところ、館陶化学工業団地のプラントは、日中に訪れたときよりも活発に操業しているように見えた。以前は操業していなかった施設から煙がもくもくと立ち上り、化学物質の刺激臭が大気中に漂っていた。

2014年4月には既に、化学工業団地による汚染に対する正式な抗議が省政府に提出されている。

違反は続いている

「これが何か役に立つのかどうかは分からないが、一般の人々を代表して抗議を試みる必要がある」と匿名の抗議者は書いていた。

河北省環境保護局は館陶化学工業団地に対する監視を強化すると約束したものの、地元住民によれば違反は続いているという。

たとえば、ロイターが閲覧した住民提供の文書によれば、昨年3月、Hebei Rongte Chemical Corpは、ベンゼン加熱用ガスケットの破断により有毒物質を含む蒸気が大気中に漏出したことについて、地元住民に対し「内部管理」の強化を約束した。ベンゼンには発ガン性物質として知られている。

ロイターがこの事故について問い合わせたところ、同社職員は電話を切ってしまった。

他のプラント操業について直接知る関係者によれば、未処理の排水が直接土壌に捨てられることは日常茶飯事だったという。「汚染水があまりにも多いので処理しきれなかった」。この関係者は、なぜ施設内の処理設備を使わなかったのかと問われてそう答えた。

化学工業団地の責任者とは連絡が取れなかった。

2014年後半には、いら立った村民たちが化学工業団地と地元の幹線道路を封鎖する事態に至っている。

封鎖を解除するため、化学プラント側が1日3元(約50円)の金銭補償を提示したが、実際の支払いはなかったとの主張があり、ロイターはこれを確認しようとしたが、関係者に連絡は取れなかった。

「補償金が得られるかどうかは重要ではない。プラントを閉鎖させることが肝心だ」と南寺頭の住民であるDingさん(46)は語った。

(Natalie Thomas and David Stanway、翻訳:エァクレーレン)

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