宝島社が“反オンライン"を貫くワケ

オンラインに出て行く理由がない

普通の会社+強烈な個性=宝島社

――紙にしろ、オンラインにしろ、最後にモノを言うのはコンテンツやビジネス面での編集力です。

宝島社は「ビジネス編集力(情報、知識、技術、そして企業をつないで独自の視点で新しい価値を創出する力)」というフレーズを掲げていますが、全社の「ビジネス編集力」を高めるために、どんな工夫をしているのでしょうか。編集や広告や営業が縦割りで分断されているメディア企業が多い中で、宝島社はひとつのモデルになる気がするのですが。

関川誠(せきがわ・まこと)
宝島社 取締役編集局長
上智大学卒業後、ジェー・アイ・シー・シー(現・宝島社)入社。『別冊宝島』編集部を経て、『宝島』編集長。『CUTiE』『SPRiNG』『smart』などの創刊を担当。現在は、編集局長として全ての刊行物を統括する。

われわれがやっているのは、極めて普通のことです。何かものすごい秘密があるわけではありません。「売り上げを追求して利潤を得る」という大きな軸があれば、それに向かって何をすべきかは自然と決まってくるはずです。

「ほかの出版社が普通でない」と言うと失礼かもしれませんが、「部数が出なくても、いい本ならいいじゃないか」という文化産業特有のカルチャーを感じることもあります。

宝島社の場合は、極めて単純に、いい本や面白い本であれば売れるし、利潤も上がると社員が思っています。そういうシンプルな話です。

――宝島社はそもそも地方自治体のコンサルティングから始まった会社ですが、そこが他のメディア企業とカルチャーが異なる理由でしょうか。

その部分もあるかもしれません。過去、一時的には、地方自治体の仕事と出版の仕事が並走していました。私は出版部門で採用されましたが、出版社として極めてマイナー、サブカルチャーな存在で、出版社の上位1000社にも入らないような会社でした。

そうした中で、世の中に宝島社の存在を知らしめるために、サブカルチャー的な雑誌や書籍を出版したり、『別冊宝島』を創刊したりして、メッセージ性があるもの、ジャーナリスティックなものを送り出しました。無名の存在を知ってもらうためには、色々やる必要がありました。一方で会社の枠組みは非常にしっかりした、当時から強固なものができていました。

ですので、宝島社が普通の企業として利潤を追求していると言っても、たとえば広告で成り立つリクルートのような会社とはまったく違います。今でも、極めてカルチャー的な部分、ジャーナリスティックな部分を持っている会社です。普通の会社の側面と、強烈な個性が同時にミックスしている面があります。

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