大戸屋が「野菜」と「女性」をアピールするワケ 丸の内新型店舗に透けて見える2つの狙い
セルフレジについては丸の内で2店目の設置となり、効果を見極めている最中だ。窪田社長は「採用環境は厳しい状況。採用コストと時間が今までの2倍かかる。(注文用タブレット端末の設置などによって)フロアスタッフの数を4人から3人に減らしたい」と語る。
新型店舗の出店費用は、ビルインタイプの場合で5000~6000万円と、従来型店舗とほとんど変わらない。今後、新規出店する店舗については、原則的に新型店と同様の形態にする方針だ。さらに注文用タブレット端末は向こう1~2年で国内全店に設置する計画も立てている。
26カ月連続で客数減
大戸屋の狙いは、顧客へのアピールを強化することと、店舗の運営費用を下げるという2つがありそうだ。
同社が5月10日に開示した前2017年3月期決算は、売上高256億円(前期比1.5%減)、営業利益7.0億円(同18.2%増)と減収増益。既存店売上高は年度平均で客数が2.4%減、客単価が0.2%増だった。
国内既存店の客数は2015年3月~2017年4月まで26カ月連続で前年割れが続いている。
既存店が前年を下回ったにもかかわらず、利益が改善したのは、赤字だった上海の子会社を清算したことや、米国の出店費用や水道光熱費が減少したことなど、一時的な費用が減少したことが大きい。
今2018年3月期は売上高270億円(前期比5.4%増)、営業利益8.6億円(同21.2%増)を増収増益の見通しを立てる。「大きくは客数の回復」(窪田社長)によって、既存店売上高を反転増させ、業績を回復させる目算だ。
さらに大きな課題が店舗網の拡大だ。昨年11月に公表した中期経営計画では、フランチャイズ(FC)店を中心に出店を加速させて、2020年3月期に国内414店舗体制(2016年3月末で同342店)に拡大する戦略を掲げた。
ただ、2017年3月期はFC店の出店数が計画に対して未達となった。「大戸屋は人件費がかかり、収益性がいいとはいえない業態」(大戸屋のFCを運営する会社)と、人手の確保や店舗運営コストが重しになり、新規オーナーの獲得や既存オーナーによる出店が想定ほど進まなかった。
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