資本主義が流入?外国との接触増やす北朝鮮 技術研修や出稼ぎなどで、外国に触れる国民が急増中

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同時に、隣国の中国やロシア、さらには中東にも労働者が派遣され、貴重な外貨を稼いでいる。韓国・国民大学の鄭昌鉉(チョン・チャンヒョン)教授は、2008年当時、中国に派遣されて働く北朝鮮人労働者は数百人程度だったが、いまでは2万人以上派遣されている、と紹介する。中国国家旅遊局の統計を見ると、北朝鮮から中国への入国者数は、05年から3、4年間は10万人水準が続いていたが、11年になると15万2000人、昨年の12年には、18万人と急ピッチで増加していることがわかる。今年の13年も、上半期(1~6月)だけで9万9100人が中国を訪問している。このうち、工場や食堂などで働くために中国に入国したのは4万7900人とのデータもある。

海外のIT技術者で月給100万円を受け取る者も

彼らが受け取る月給は、地域と職種によって差はあるものの、おおよそ500~1000ドル(約4万8000~9万7000円)前後。モンゴルでの建設労働者は600~700ドル(5万8000~6万8000円)だが、中東に派遣された労働者や中国に派遣されたIT関連の労働者の場合、1万ドル(約97万円)の月給を受け取る者もいると、鄭教授は言う。また、中国内のレストランなどで働く女性労働者の平均月給は、1500人民元(約2万3000円)程度だが、韓国による南北経済協力のシンボルであり、現在南北間で閉鎖か稼働かをめぐって対立している開城(ケソン)工業団地で働く労働者の平均月給は110ドル(約1万0600円)前後。これと比べると、倍以上の金額を受け取っていることになる。

彼らが受け取る給料も、「以前は相当部分が国家に帰属していたが、現在では月給の25%を国家に差し出すだけでよく、労働者の可処分所得は増えている」と鄭教授は説明する。そのため、北朝鮮へのゲートウェイとなる中国・北京首都国際空港では、派遣を終えた北朝鮮の労働者が搭乗手続きの際にカラーテレビやDVDプレーヤーなど電子製品を大量に預ける姿もよく見かけるようになった。

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