「ひとりぼっち」の時間を今あえて勧めるワケ 「人間関係」からいったん手を離すことの効用

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日常の中で、ふと、胸にぽっかりと穴が空いたような虚しさを感じてしまう。そういう人は、仕事や家族、友人といった人間関係によって、知らず知らずのうちに、消耗してしまっている可能性があります。

新刊『ソロタイム ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』の中で私は、そういう疲弊した現代人のために、「ひとりぼっちの時間」(=ソロタイム)を過ごすという提案をさせていただきました。

日ごろの人間関係からいったん手を離し、静かで落ち着いた、ひとりぼっちの時間を過ごす。たったそれだけのことで、何ともいえないような虚しさが、ふっと楽になった、という人は、少なくありません。

私自身、病院に勤めていた20代、30代のころ、ときどき、「こんな毎日を過ごしていて、自分の人生に意味があるのだろうか」と、何に対しても意欲が持てなくなってしまうことがありました。そんなとき私はよく、お気に入りの公園を訪れ、1人でぼんやりと時間を過ごすようにしていました。

1人で静かに過ごしてわかったこと

誰も自分のことを知らない場所を訪れ、1人っきりで静かに、ゆっくりとした時間を過ごす。そうすると不思議と、ふっと気持ちが楽になり、少し前向きな意欲が湧いてきたのです。

精神科救急の激しい勤務を続けていた当時の私は、自分でも気づかないうちに、心と身体をこわばらせていたのだと思います。「ひとりぼっちの時間」は、そうした緊張感から私を解き放ってくれる、貴重な時間だったのです。

具体的に、ソロタイムを過ごすためにどうしたらいいかということは、書籍をご覧いただくとして、皆さんも1度、騙されたと思って、1週間に1度くらい、仕事や友人、恋人や家族など、日ごろの人間関係や役割から切り離された時間を過ごすようにしてみてください。

筆者の近著『Solo Time 「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

たとえば、喫茶店に行って、1時間ほど文庫本を読むのでもよいでしょう。近所をふらりと、目的を定めずに歩いてみるのもよいかもしれません。もしスケジュールが許すなら、ふらりと1人で旅行に出かけるのも、ソロタイムの過ごし方のひとつです。

私たちの思考や感情は、周囲の人間関係や環境から、常に強い影響を受けています。普段顔を合わせる人や環境から離れ、いつもと違う環境でひとりぼっちの時間を過ごすということ。

ソロタイムが私たちにもたらしてくれるのは、いつもとは違う思考であり、いつもとは違う感情なのです。

名越 康文 精神科医

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なこし やすふみ / Yasufumi Nakoshi

1960年、奈良県生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。
著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSコミュニケーションズ、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」刊行中。オフィシャルウェブサイトはこちら。twitterはこちら

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