「略奪婚」のすべてが絶対的な悪とは限らない 「スナック店員と20歳差の再婚」という選択

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九州に転勤してからも、康夫さんは邦子さんに会うために大阪のスナックに来てくれることがあった。さらに、「遊びに来いよ」と航空券を送ってくれ、2人きりで温泉旅館に行ったこともある。外形的にはわかりやすい不倫旅行だが、部屋は2つ予約されていた。邦子さんはさすがに拍子抜けしたらしい。

「温泉旅館に泊まったんだから手を出して来いよ、と思いますよね(笑)。でも、あのときに手を出されていたら1回きりになっていたかもしれません。私は2号さんになりたいわけではないので。不倫にどっぷりハマると自分が不幸になると思います」

逆に言えば、邦子さんのほうから「手を出す」こともなかった。この寸止めデートが功を奏したのか、康夫さんは覚悟を決めた。前妻ときちんと離婚して、邦子さんにプロポーズをしたのだ。3年前の8月の出来事である。邦子さんの返事はもちろんYES。年の差は気にならなかったのだろうか。

「私はもともと年上好きです。15歳年上の男性と長く付き合っていたこともあります。同世代には私を守れる強さはありません。私、化石級に考えが古いんですよ。家では私が主人を尻に敷いているかもしれないけれど、外では主人が王様です。女は黙って後ろを歩くべき、と思っています」

神社仏閣巡りの趣味も一致しており、生活リズムも違和感はない。唯一、年の差を感じるのは子どもの頃に見ていたテレビ番組ぐらいだ。

親の説得、子宮外妊娠を経て……

びっくりしたのは邦子さんの両親だった。2人とも現在63歳。康夫さんのわずか2歳上である。邦子さんから写真を見せてもらったが、50歳ぐらいにしか見えない若々しい美男美女だ。

「逆に、主人は年齢以上に見た目が老けています。そんなジジイに初対面で『娘さんとの結婚を許してください』と言われたので、両親は驚いたはずです。でも、父は主人と意気投合したみたいで、『お前が嫁に行きたいなら行ったらいい』と許してもらいました」

その日の夜、2人は初めて結ばれた。秋には邦子さんがスナックを辞め、フェリーに乗って九州へ。しかし、着いた直後に邦子さんは出血をして倒れてしまった。

「子宮外妊娠でした。私も主人も子どもが欲しいと思っていたので、とても残念です。私たちはいますごく幸せですが、2人で一緒にいられる時間は短いのはわかっています。おそらく私が残されるでしょう。主人との間に子どもがいてくれたらうれしいですね」

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