日立の「英国新幹線」、なぜイタリアで生産? 日英伊「三極体制」で始まった鉄道新時代

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同工場ではこのほど、イタリア国鉄(FS)から受注した超高速車両「フレッチェロッサ1000(ETR1000)」50編成の組み立てを完了し、イタリア国鉄に納車を終えたばかりだ。同工場ではETR1000の生産終了後、どんな車両を受注し、従来からの雇用を守るかが大きな課題となっていた。同工場の技術を存分に発揮できる今回の受注は、日立にとって願ったりかなったりというわけだ。

日本とイタリアの合わせ技

イタリア・ピストイア工場での生産が始まった「クラス802」(Courtesy of Hitachi Rail Italy)

クラス802の生産を英国工場ではなくイタリアでしてもよいかを確認するため、GWRの幹部がピストイア工場の視察にやって来たが、日立レールイタリアのモーリツィオ・マンフェロットCEOは当時の状況についてこんな風に話している。「わずか数時間の見学で『生産を移管してOK』と言って帰って行った」。ビストイア工場の技術力の高さを示すエピソードといえようか。

ピストイアでのクラス802の生産は、今年2月に開始されている。その一方で、英国で実際に走らせるための試験用車両は4月下旬に神戸港から搬出、6月中には英国の港に陸揚げされる予定だ。

日立のイタリア工場では、GWR以外の英国にある鉄道運行会社からもクラス802を受注しており、引き続き生産が行われる予定だ。

英国の欧州連合(EU)からの脱退手続きがいよいよ始まる中、EUの一員であるイタリアで鉄道車両の生産が始まる。日本で新幹線を50年以上にわたり造り続けてきた技術力とイタリアならではの職人技の合わせ技が評価を受けているからなのかもしれない。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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