日立の「英国新幹線」、なぜイタリアで生産? 日英伊「三極体制」で始まった鉄道新時代

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日立のクラス800は、最終的にロンドン―ブリストル間と、さらにその先の2つに分かれる路線沿線の主要都市間を結ぶことが決まっており、3月からはウェールズ方面への線路にも実際に車両を入れた試験運行が始まった。

さて、日立がGWR各線で走らせる車両は、細かく見ていくとその動力や仕組みによって仕様が異なる。

日立は当初、GWRに対するIEP向け車両の納入に当たり、電化区間のみを走る「クラス801」と非電化区間も走れるようにディーゼル発電機を搭載した「バイモード」のクラス800の2種類を準備するはずだった。ところが、グレートウェスタン本線の電化工事の進捗が遅いことから、GWR向けはすべてバイモードのクラス800を納入することになったのだ。

「クラス802」の試運転用車両。深緑色の車両には、この路線敷設に尽力した技術者・ブルネル氏の名前が付けられている(Courtesy of Great Western Railways)

GWRはさらに日立に対してIEP向けとは別の車両発注を行っている。それは、ロンドンからアップダウンが多いイングランド西部のデボン州、コーンウォール州まで直行するための長距離列車車両「クラス802(AT-300)」だ。

この型式は、外見はバイモードのクラス800とほとんど変わらないが、イングランド南西部の急勾配に対応すべく、エンジン出力をIEP向け車両よりも向上させているほか、プリマス―ペンザンス間の長い非電化区間を走るためディーゼル発電機用の燃料タンクも大型化するといったような細部の違いがある。

クラス802、イタリア工場で生産開始

イングランド南西部まで直行するクラス802は今年2月から、フィレンツェ近郊にある日立レールイタリアのピストイア工場で生産が始まった。本来、英国向け車両は同国内で生産するほうが効率は良さそうだが、なぜイタリアで生産することになったのだろうか。

日立はGWRから2015年12月、クラス802を173両(9両×7編成と5両×22編成)受注した。同社にとって、英国の鉄道会社からの追加受注は歓迎すべきことなのだが、IEP向けクラス800、クラス801、および別の英国での受注(スコットレール向け「AT200」)分をこなすのに手一杯で、とても納期を守れそうにない。

そこでクラス802の生産拠点として白羽の矢が立ったのが、日立が2015年11月に買収を決めたイタリアの車両メーカー、旧アンサルドブレダが運営していたピストイア工場だった。

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