外為取引急増で欧米銀行のシェア争い激化 人材も引く手あまた
[ニューヨーク 7日 ロイター] - 外国為替市場は今年前半に取引が急増し、規制面でも他の金融商品に比べて締め付けが厳しくないことから、欧米銀行間で激しいシェア争いが起きている。
主要通貨でボラティリティが高まり、銀行にとっては利益を上げるチャンスが膨らんだ。
トレーダーなどによると、この数カ月にバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど、これまで外為事業が比較的小さかった銀行がシェア獲得に向けた取り組みを強化。ドイツ銀行、シティグループ、バークレイズ、JPモルガン・チェースといった従来市場を牛耳ってきた大手銀に挑んでいる。
さらにBTIG、ニューエッジ、FXCM、ゲイン・キャピタルなど中堅も参入し、市場の細分化が進んだ。
銀行間の競争がとりわけ激しいのは、外為取引がデリバティブや社債など他の分野と比較して新たな規制強化を受けておらず、銀行にとっては他の金融商品よりも少ない資本手当てで取引が可能だからだ。
コンサルタント会社コアリションの調査・分析部門ヘッドのジョージ・クズネツォフ氏は「規制当局にとっても、株主にとっても、資本の面からも好都合に見える商品の1つだ」と話す。
日銀の大胆な金融緩和策や米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ縮小の観測などを受けて、外為取引は上半期に増加。最大級の外為決済システムを運用するCLSバンクによると、6月の1日当たりの平均取引高は5兆6000億ドルと、前月比15%増加した。
取引高はこの数週間は減少しているが、競争は激しいままだ。大手銀の外為担当の幹部は「市場の参入障壁が非常に低い。海外への送金方法をグーグルで検索しただけで、10年前には存在しなかった外為サービス会社がたくさん見つかる」と述べた。