学校や教育委が「いじめ」をすぐ認めない理由 後から「いじめ」の事実を認定するのはなぜ?
「今回の記者会見で、教育委員会は、学校が主張するとおり、いじめはなかったとの説明を繰り返していました。記者に指摘されて初めて、見つかった資料もあったようです。
本来、教育委員会は、学校とともにいじめの事件を調査し、学校の調査が不十分であれば、これを指導する立場にあります。しかし、実際には記者会見のように外部の客観的な視線や批判に触れないと、学校側の説明をそのまま受け入れてしまうことがあるのです。
学校側からすれば、責任問題になることは避けたいでしょうし、教育委員会の構成員の多くが学校現場から異動してきた教員であることなどから、馴れ合いが起きているという事情も作用しているのではないでしょうか」
「いじめアンケート」前後の対応が重要だ
髙橋弁護士は、今回学校が行った、いじめアンケート前後の対応が適切だったかを調査すべきだと指摘する。
「いじめを受けている子が、アンケートに『いじめはない』と回答したり、『ある』としていても、その後の聞き取り時に『ない』と答えたりすることがよくあります。
たとえば、アンケートの後、先生がいじめっ子たちに表面的な注意をするだけであれば、今まで以上に陰湿ないじめにあうでしょう。いじめがあったと回答しても、どうせ先生は助けてくれない。この結論に至った子どもたちは、いじめの事実を先生に話すことはありません」
今回の事件では、亡くなった生徒はアンケートに対し、2度「いじめられている」と回答。学校側はその後、本人と加害者の双方を指導し、被害申告がなくなったことから、いじめは止んだものと判断していたそうだ。
「先生に言ってもいじめは終わらないという確信を持った子どもたちは、より確かな絶望感に直面してしまいます。もしかしたら、亡くなった生徒もそういう心境になっていたのかもしれません」
髙橋弁護士によると、こうした対応は仙台市に限ったことではないという。では、いじめ問題について、学校や教育委員会はどう対応していくべきなのだろうか。髙橋弁護士は「答えは一つではない」と前置きしつつ、「証拠等資料の収集方法や分析方法の周知を徹底すべき」だと強調する。
「いじめ調査については、普段子どもと接している先生たち以上の適任者はいないでしょう。しかし、担任の先生などの関与の深い教員による調査だけでは、教室は平穏であったということを肯定する証言の方が、先生にとっても都合が良いためか優先されてしまいます。
例えば、担任以外の先生によって、当事者だけでなく、現場に居合わせた他の子どもたちに個別に聞き取りをするなど、具体的な調査を行う必要があるでしょう」
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