宮崎県が生んだ柑橘「日向夏」誕生の秘密

ある民家にたまたま自生していた

「県内外から、農畜産物を求めて綾町にやってくる観光客の方が多いです。森林や美しい水だけでなく、星空百選に選ばれるほど星空も綺麗なんですよ。最近ではこの環境に魅力を感じ、県外からの移住者も多くなってきました。農家のみなさんも真面目で、全員が力を合わせて有機栽培に取り組んでいます。自然生態系を崩さない農業というのは、いまでこそ意識されるようになりましたが、綾町が取り組みを始めた頃は飽食の時代真っ盛り。そんな時代にいち早く有機栽培に着手した当時の町長にはきっと、先見の明があったのでしょうね」。

一番美味しい日向夏は晩春に出回る露地物

日向夏という名前から“旬”は夏なのかと思いきや、露地物の日向夏が“旬”を迎えるのは3月から。

農家の花田健二さんの果樹園を訪れてみると、山の斜面に沿って生えたたくさんの樹で、たわわに実った日向夏が収穫の時を待っていた。

ハウス栽培と露地栽培を手がけている花田さんは、「ハウス物は2〜3月、露地物は3月〜5月初旬くらいまで出荷します。1シーズンで20t以上は収穫するかな。一番美味しいのはもちろん、露地物の在来種。種が多いから食べにくいかもしれないけど、これが本来の日向夏の味。糖度があっても、酸味が抜けすぎていては駄目。酸味と甘味のバランスが大事」と話す。

日向夏は4月半ばに花をつけ、受粉後に実をつけていく。8月の暑い時期には傷がつかないよう一つひとつの実に袋を被せ、温かい太陽の光を浴びながらふっくらとした実に成長。もちろん綾町の条例にのっとって、花田さんの果樹園でも除草剤は一切使わない。畜産業も盛んな綾町では、土作りにも堆肥を活用している。

「日向夏の出来は自然の力によるところが大きい。日照時間が短くても、雨が少なすぎても実の太り具合が悪くなる。台風もよく来るので、枝が折れてしまったり。除草剤を使わないので草刈りなどで忙しいけど、大変だと思ったことはない。“美味しくなぁれ、美味しくなぁれ”と思いながら毎日作業しています(笑)」。

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