ローソン不振の原因は経営者か?親会社か? 最終的な評価は数年後にはっきりする
ローソンは2017年2月末時点で全国に1万2395店を展開しているが、このうちローソン本体が運営している直営店は200店舗ほどしかなく、残りはすべて独自のオーナーが存在するフランチャイズ加盟店である。ローソンの売上高のほとんどは加盟店からのロイヤリティで占められているため、ローソン本体が儲かっていても、店舗が儲かっているとは限らないのだ。
玉塚氏の在任中、各店舗の売上高は増えなかった
加盟店を含むチェーン全体の売上高(コンビニエンスストア事業)を見てみると、就任後、初の決算となった2015年2月期こそ売上高が減少したが、2016年2月期は1.4%増、2017年2月期は4.2%増と、拡大基調を維持してきた。もっとも、単純に売上高を増やすだけなら、経営者としてそれほどの力量は必要ない。各店舗の採算を考えずに、大量に新規出店を繰り返せばよいからである(各店舗の利益が減っても短期的にはローソン本体には影響がない)。
しかし、加盟店が儲からなければ長期的にはデメリットの方が大きくなってしまうため、無理に新規出店を進めることは現実的に難しい。このあたりの舵取りがフランチャイズ・ビジネスのカギであり、コンビニ経営者の力量ということになる。
同じ期間における1店舗あたりの売上高を見ると、いずれの期も、玉塚氏就任前を下回っている。現場に視点を移した場合、ローソン各店の売上高はむしろ減少してきたというのが現実である。この数字だけで断言することはできないが、玉塚氏がシェア拡大を優先し、少々無理な出店を行った可能性は否定できない。
ちなみに1店舗あたりの平均的な売上高を比較すると、ローソンは約1億6000万円ほどだが、業界トップのセブンは2億3000万円とローソンの1.4倍もある。玉塚氏の在任中、セブンとの差についてもほとんど縮まることはなかった。
ローソン本体の業績はともかく、チェーン全体の数字を見る限り、玉塚氏のトップとしての成績は今ひとつだったということになる。だが、この部分だけを見て経営者の力量を判断するのは早計だ。特にローソンの場合、大株主である三菱商事との関係というやっかいな問題が存在しているからである。
三菱商事はローソンの大株主であり、同時にローソンの取引先でもある。この関係は場合によっては、ローソンと三菱商事に利益相反をもたらす可能性がある。ローソンは小売店なので、仕入れ先からはできるだけ商品を安く調達した方が儲かる。一方、小売店に商品を納入する卸(ここでは三菱商事がこれに該当する)はできるだけ高く売った方が利益が大きい。