結婚式場の革命児が描く「新しいホテル」の姿 テイク&ギブニーズ、「トランクホテル」の全容

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そのほかにも渋谷区のシンボルであるケヤキをホテルの敷地内に埋めたり、ホテルの備品には廃材などをリサイクルしたハンガーやグラス、鉛筆といったアメニティを用意し、飲み物や家電も”日本らしさ”にこだわった。

「社会的価値、経済的価値をバランス良くやること、それをこのホテルでセンス良く表現したい」(野尻会長)。

渋谷から世界へ発信するホテル

T&Gの野尻佳孝会長は、今回新設したトランク社の社長を兼務。最近は社会貢献活動を重視している(撮影:大澤誠)

野尻会長には、冒頭のように勝算がある。

20年前に結婚式の平均単価は200万円を割っていたが、同社が参入しハウスウェディングというスタイルを確立したことで平均単価は上昇。首都圏の場合、平均で385万円、同社の場合は400万円弱まで高まった。

今回のトランクホテルでも、既存のホテルとは一線を画した価格設定を志向する。目指すのは、渋谷区で断トツのADR(平均客室単価)となる7~8万円。結婚式を挙げた顧客の宿泊だけでなく、訪日外国人客や新しい価値観に敏感な層を取り込む狙いだ。

訪日客の追い風が吹くまで、ホテルは儲からない業種とされてきた。「1~2年経って、運営実績を公表すればホテルは儲かる業種なのだと皆気づく。ハウスウェディングの時もそうして新規参入があって業界が活性化した。ホテル業界を儲かるビジネスにするイノベーターになる」(野尻会長)。

野尻会長がモデルとするのは世界に30軒ほどしかないのに、誰もが知る高級ホテルのアマンリゾートや、先端コンセプトで人気を集める米国のエースホテルといった存在だ。

かつてハウスウェディングでブライダル業界に旋風を巻き起こした野尻会長。ホテル業界でも手腕を発揮できるのか。挑戦は、今日この渋谷の地から始まる。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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