歯止めかからぬ大型車不振 トヨタも減産強化、底なしの北米市場

6月に北米4工場の閉鎖を打ち出したばかりの米ゼネラル・モーターズ(GM)が、15日に人員削減や配当停止などで150億ドルの資金を積み増す大規模な追加リストラ策を発表した。今月初旬、メリルリンチ証券がリポートでGMの資金繰り不安に言及。経営危機説の憶測が飛び交う中、株価はついに10ドルを割り込んでいた。こうした事態を受け、GMのリチャード・ワゴナー会長は「破産法申請はない」と否定していたが、結果的には追加リストラ公表に追い込まれた格好だ。

だが、不測の事態はGMだけではない。米国不況の余波はそのGMと世界一を競うトヨタ自動車にも及んでいる。10日、トヨタは北米生産体制の再編を公表。減産を含めた再編の骨子は大きく分けて三つ。【1】テキサス工場のすべて、インディアナとアラバマ工場(エンジン生産)の一部の生産ラインを、8月から3カ月間休止、【2】ピックアップトラック「タンドラ」の生産をテキサス工場へ集約、【3】建設中のミシシッピ工場は当初計画を変更し、2010年後半から「プリウス」を現地生産する。

2工場による車両の生産実績は、「タンドラ」やSUV(スポーツ多目的車)「セコイア」を併せて26万台。これに休止する3カ月を当てはめると減産規模は6万台強で、トヨタの米国生産量(07年133万台)の5%弱になる。今回の減産でもレイオフは行わず、カイゼン活動などに従事させ、賃金も支払うという。GMの窮状とは大きく異なるが、順調に拡大してきたトヨタにとって、本格的な生産調整は初めてだ。

大型車が失速のトヨタ 小型車は供給が不足

「インセンティブ(販売奨励金)の増加に歯止めがかからない」。米自動車事情に詳しい関係者は米国市場の混乱をそう危惧する。特に不振なのがピックアップトラックなどの大型車だ。サブプライム問題に加え、高燃費の大型車には近年の急激なガソリン高騰が致命傷となった。

トヨタが生産を休止するインディアナ工場は1999年稼働、テキサス工場に至っては06年稼働と日が浅い。両拠点とも、米ビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)の牙城で利幅が分厚い大型車の取り込みを狙って稼働させたものだった。

しかし「日本と違い中期的に人口増が続く」(渡辺捷昭社長)と期待し、右肩上がりを続けた米自動車市場も、その需要動向が一変している。ピックアップトラックやSUVの需要が縮小し、6月のライトトラック市場は前年同月比で29・5%減、トヨタでは「タンドラ」の不振もあり38・8%減だった。目下、同社のライトトラック在庫日数も100日前後の高水準と見られ、大型車に傾倒したトヨタの苦悩は大きい。

トヨタでは今回の減産影響を損益に見込んでいない。「これ以上在庫が増えずに済めば、少なくともマイナスは出ない」(幹部)との見立てだ。だが生産ラインを止めても人件費は発生している。需要縮小が長引けば、操業維持にも影響が出る。

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