留学で「こんなハズじゃ」と後悔する人の思考 夢のLA留学生活は「海外ドラマ」と大違い!

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次にご紹介するのは、近年人気の留学先、フィリピン・セブ島の例です。お国が変われば、また違う苦労があるようです。

最初から日系の学校にしておけばよかった…

Case2:寮の同居人が、毎晩どんちゃん騒ぎ
~フィリピン・セブ島で寮生活をしたYさん(男性)の場合

Yさんは、食品メーカーで営業を5年経験したのち、海外に活躍の場を広げたいという思いで、会社を退職後、セブ島でマンツーマンレッスンをみっちり3カ月間受けることを決意しました。

語学学校の費用はなるべく抑えたいということで、ネットから自分で探して、ビジネス英語に強いという触れ込みの韓国資本の語学学校に決定、何としても英語を上達させるという思いで留学生活がスタートしました。

マンツーマンレッスン自体は、1日8時間の英語漬けで大変ながら、ある程度満足できるものでした。ただ、問題は生活面です。

滞在先は、学校と同じ敷地内にある学生寮のような施設。ネットで見た写真とは違って、お世辞にもきれいとは言えない部屋。そこで、韓国から来た大学生と一緒に滞在することになりました。

両親に言われてこの学校に留学することにしたという、韓国から来た同居人は、そこまで英語学習に熱心なわけではなく、毎晩部屋に同郷の友人を招いて真夜中までどんちゃん騒ぎ。よって、部屋では集中して勉強ができません。

毎日の食事にもなかなか慣れませんでした。寮の食堂ではご飯が提供されるものの、韓国資本の学校のため、毎日出るのは韓国料理。毎日出るキムチももともと好きではなかったので、日に日にストレスになっていったようです。週末に食べるフィリピンのローカルフードも肉料理中心のメニューのため、野菜が恋しくなったと言います。

滞在開始から1カ月が過ぎた頃、Yさんのお腹に激痛が走り、病院に入院することになってしまいました。 ドクター曰(いわ)く、食あたりということ。地元の市場で購入した生野菜のサラダを食べたことが原因のようでした。

結局、Yさんは現地の留学エージェントに相談し、日本資本の語学学校に通い直すことになりました。少々値段は高くなりましたが、ホテル滞在で食事も日本人向けに改善された内容というのが決め手になりました。前の学校にかかった費用は、返金されませんでしたが、せっかくの留学期間を無駄にはできないため、苦渋の決断をしました。

その後は体調も回復、3カ月後には現地の生活にも慣れ、英語力にも自信がついてきたということ。少々値段が高くても最初から日系の学校にしておけばよかった、と後悔しているとのことです。

留学先の食文化が日本と異なるだけでなく、滞在するところによっても食生活は大きく変わってきます。留学を決める際はついついどんな学校で学ぶかに考えが向きがちですが、生活面にも気を配って準備していくことが成功の秘訣です。もしYさんのように病気になってしまうと、病院の費用が日本に比べて驚くほど高額の請求になる場合もありますので、海外旅行保険などに加入するなどの危機管理はぬかりなく行う必要があるでしょう。

さらには、いざ現地に行ってから計画を変更することになった場合に備えて、現地でのサポートがある留学エージェントを利用するのも手です。

せっかくの留学生活。快適で有意義な毎日が送れるといいですね。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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